ビジネスを急成長させる最も確実な方法は、適切な人たちに向けた確実なマーケティングです。
スタートアップ企業の設立初期には、クライアントを見つけるのはいささか暗中模索になりますが、誰があなたのサービスを重宝してくれるかまだわからない場合は、それを特定するために広い網を張って、幅広い市場をターゲットにするのも1つの方法です。
ただ、このプロセスはかなり非効率的であり、長い目で見て自社の成長にほとんど貢献しないような顧客に、フタを開ければ多くの時間と労力、開発費を費やしていることになるかもしれません。
では、どうすれば理想的な販売ターゲットが見つかるでしょうか。
ここで登場するのが、Ideal Customer Profile、通称ICP(理想の顧客特性)です。
「顧客ペルソナ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、自社のサービスを利用する可能性が最も高い人物を、架空の原型に似せて表現したものです。
ICPはより具体的です。キーワードは「理想」、つまり、あなたの市場の隅々で、あなが最速で成長できるように貢献してくれるドル箱消費者は誰なのか、ということです。
ここでは、ICP(理想の顧客特性)の作成方法と効果的な活用方法について、簡単なステップをご紹介します。
ステップ1:現在のユーザーベースからのICPの特定
ステップ2:現在のICPユーザーのサンプルへのインタビュー
ステップ3:データの集計
ステップ4:マーケティングや研究開発で得た見解を行動に移す
ステップ1:現在のユーザーベースからのICPの特定
ICPには、大きく分けて3つの特徴があります:
- 高いMRR(月間経常収益)
- 高いLTV(顧客生涯価値)
- 手間がかからない
本来、ICPは短期的にも長期的にも高い収益をもたらすものであり、かつチームからのサポートが最小限で済むものであるべきです。
まず、既存顧客のデータベースに目を通し、そのような特徴を持つ人を洗い出す作業から始めます。
まず、顧客のセグメント化から始めましょう。
その方法について何かアイデアが欲しいという方は、Baremetricsを使った顧客セグメントの方法に関する簡単な説明があります。Baremetricsには、ビジネスインサイトのための26以上の異なるメトリクスがあり、現在、無料お試しをご利用になれます。
ここでは、収益とLTVに対して、どのようなメトリクスでセグメント化するかについての例をいくつか挙げています:
- 所在地
- 産業グループ
- プランの規模
- 加入している用途・サービス
このデータを調べると、高収益、高LTV、低手間の顧客の間で、どこから事業が運営されているか、分野内での役割、サービスをどのように使用しているかなどの幅広い共通点がいくつか浮き彫りになります。
このプロセスを簡単にするのにBaremetrics のセグメントツールの使用を検討し、その後、グループの進捗を個別に追跡しましょう。
以下のような例に基づいて顧客のセグメント化をします:
- 毎月獲得できるMRR
- 使用している製品(Recover)
- 有効なサブスクリプションの有無
ステップ2:現在のICPユーザーのサンプルへのインタビュー
本当のフィードバックを得るには、何よりも電話です。アンケートでも基本的な回答は得られますが、直接電話をかける時ほど詳細で有益な情報にはならないでしょう。
ここで得られる最も貴重な情報のひとつは、似たようなサービスをどのように試しているのか、そしてなぜあなたのところのサービスを選んだのか、あるいは選ばなかったのか、ということです。
電話だとフィードバック以外の機会も得られます。例えば製品の使い方を説明してアップグレードを促すことができたり、解約しそうになっているユーザーも、会話の中で問題点を指摘されれば、また戻ってくるかもしれません。
セグメントで得たインサイトをもとに、20〜30名程度の顧客を選んでインタビューしましょう。
こういったインタビューは、SaaS企業の創業者やその他の上層部が行うのが理想的です。
顧客企業の担当者を探す場合、「デベロッパーよりもビジネスパーソンの方が電話を取りやすい傾向があること」、「意思決定者はインタビューの時間を取りにくいこと」、「しかし彼らのフィードバックは通常最も貴重であること」を覚えておきましょう。
大口の顧客だけに焦点を当てるのではなく、中程度の顧客も含めましょう。カスタマイズされたサービスを利用している少数の大口顧客よりも、多くの中口顧客からのフィードバックの方が、実用的なフィードバックが得られる可能性が高いのです。
もし機会があれば、解約した顧客、クローズドロスト(失注案件)、未コンバージョンのトライアル、見込み客など、インタビュー対象の拡大を検討してみましょう。
ユーザーから製品に関するポジティブな意見を聞くことは非常に重要ですが、なぜあなたのサービスが一部の人に適していないのかについての理解も重要です。簡単な変更で、ユーザーが戻ってきたり、彼らのような未知の潜在顧客にとってサービスがより魅力的になるかもしれないでしょう?
インタビューで使える質問例のご紹介:
- あなたの肩書き/役割は何ですか?
- チームや会社の規模はどのくらいですか?
- 弊社の製品をどのようにお使いですか?
- 社内と社外、どちらでお使いですか?
- [当社製品]を使い始める前はどのような生活を送っていましたか
- 【弊社製品】のようなソリューションを探し始めたきっかけは何ですか?
- トライアルのプロセスはどのようなものでしたか?
- 弊社と比較された他社はいらっしゃいますか?
- 最終的に弊社を選択された理由は何ですか?
- 弊社製品が最適なソリューションであると判断されたのはいつ頃ですか?
- 【弊社製品】がなかったら、あなたのチームはどうなっていましたか?
- 当社の製品で達成しようとした具体的な社内目標はありますか?
- 【弊社製品】はどういったところが優れていますか?
- 製品の摩擦や、改善の余地がある点はどこでしょうか?
- あなたのビジネスにとって、[弊社製品]のどのような機能が最も重要でしょうか?
- ご利用は散発的ですか、プロジェクト単位ですか?
- 何でも要望が通るとしたら、他に何をご希望ですか?
- 弊社製品と一緒にご利用いただいているツールはありますか?
- 他のツールはどういった点が優れていますか?
- どういった点に改善の余地がありますか
- 他に一般的な[製品タイプ]のツールは何を使っていますか?
ネットワーク/市場拡大の可能性についての質問:
- 自身と同じような[役割]の人たちと出会ってネットワークを作るにはどこに行きますか?
- 出会う場所に会合はありますか?
- フォローしているポッドキャストやブログ、ツイッターのハッシュタグはありますか?
- どのようなチャネルでマーケティングを行えば、あなたや仲間にとって目につきやすくて効果的ですか。
- 【弊社製品】の理想的なユースケースはどのようなものだと思いますか?
大口顧客への質問:
- どのような追加機能があれば便利ですか(あるいは、お金を出しますか)?
- 他にどんなツールをどんな目的で使っていますか?
- もし、その機能を弊社のソフトウェアに組み込んだら、弊社製品にもっと出していただけますか?
- どのようなプレミアティアサービスを弊社はご提供できますか?
しっくりこないですか?自分の言葉にアレンジしましょう!
インタビューから最大限の成果を得るための一般的なヒント:
- 自己紹介をし、フレンドリーな世間話から始める
- 例えば、「弊社製品が皆さんの生活にどのようにフィットするのかを見て、改良を加えたい 」など、何を達成したいのかを説明する。
- 顧客からの質問の機会も設ける。
- 社内での使用に限り、インタビューの録音許可を要請する。
- 答えを推測させないオープンな質問をする(例:「〜と思いませんか?」のような聞き方を避ける)
- 製品や市場に対する自身の偏見や意見に注意する。
- 正直なフィードバックを得られるような安全な環境を整え、ガッカリするような答えにも、感情的にならない方法でユーザーと向き合えるようにする。
- 時間を割いてくれた顧客には、心のこもったお礼の品やジェスチャーで感謝の意を表しましょう。ギフトカードなどの現金に相当するものは、相手の職場に迷惑がかかる可能性があり、また、相手の時間の価値を下回ってしまうことがほとんどであることに注意してください。チョコレートやお礼のカードを送ったり、顧客のサービスへの被リンクや体験談など、何か提供できることがないか直接聞いてみるのもよいでしょう。
- インタビューは受け身である必要はありません。コアスクリプトをカバーすることはもちろんですが、顧客がサービスをうまく利用できるよう、恐れずにその場その場でペインポイント言いましょう。
- 販売につなげるためにもう再度電話をかけたり、ユーザーが指摘した問題が解決されたことをお知らせしましょう。
ユーザーに関して気付いたことがあれば、恐れずに次のインタビューに新しいアイデアを取り入れましょう。
ステップ3:データ集計
やったーインタビューが終わったー!さて、どうしましょう?
まず、記述などのサービスやUpworkのアウトソーシングで情報を書き起こします。
そうすると、その答えをカテゴリー分けするためのいいシステムが必要です。
いいですか、このデータ集計の目的は、ICPが自社製品を選択する理由を理解し、彼らのような大口の見込み客をどこで見つけることができるかを判断する点です。
また、解約した顧客、クローズド・ロスト(失注案件)、未コンバージョンのトライアルを含めると、開発すべき領域にもスポットライトが当たります。
各記録では、重要なポイントは強調して、引用や参照は、コンテクストのためにこのソースドキュメントに必ずリンクしましょう。
各インタビューで得た重要なポイントはスプレッドシートに記録し、会社の所在地、インタビューした人の役割、売上などのメトリクスと照らし合わせてリストアップしておきましょう。これは後々、特定の地域や業界の顧客から共通の問題や要望を探すときに役立ちます。
修正のためにデベロッパーに送信する実際の問題点と、たとえば、解約した顧客への「カムバック」メールに含める営業チームをリストした別のドキュメントを作成しましょう。
最後に、同じような回答が何回あったのか、どのようなお客様がその回答をされたのかを簡単に照らし合わせられるよう、回答の注釈を作っておきましょう。
それをさらに、「自社製品」と「競合製品」の比較、摩擦ポイント、購入のきっかけなど、サブカテゴリーで分解するといいでしょう。
以上です!このプロセスにより、ICPが誰で、どのように製品を使用しているか、そしてどこにアクセスできるかがバッチリわかります。
ステップ4: マーケティングと研究開発で得た見解を行動に移す
さて、ICPが誰なのかがわかったら、次はその見解を生かす番です。
マーケティング
このデータから、ICPがどのプラットフォームを使用しているか、その主要な属性や、どのような機能が最も重視されているかがわかるはずです。そこから、あなたのところのサービスを利用するだけでなく、あなたのビジネスに最も利益をもたらす方法でサービスを利用する潜在顧客に販売を向ける、効果的なマーケティング戦略を構築することができるのです。
また、価格帯が適正かどうか、サブスクリプション料金を上げる余地があるかどうか、より低いレベルのサービス層を設けることを検討すべきかどうか、などの判断材料になります。
許可を得れば、ウェブサイトや広告のコピーに、顧客の声の引用もできます。
開発
インタビューによって、摩擦が生じやすい領域が浮き彫りになったことは間違いないでしょう。簡単に解決できるものもあれば、全面的な見直しが必要なものもあります。注意しなければならないのは、たとえ何度も指摘された問題であっても、それを解決することが直接成長につながるとは限らないということです。つまり、大きな開発を決断する際には、開発コストと失われた収益や潜在的な成長とを比較検討する必要があるということですが、最終的に決めるのは、創業者であるあなたです。
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