純利益 & 総収益 & 純収益 - ビジネス用語の違いを解説

SakaiRenee 2023 6 20

経営者は、利益や収益をいくつかの指標で測定しますが、一般的なものとしては、「純利益」「総収益」「純収益」などがあります。

これら3つの測定値にはどのような違いがあるのでしょうか。また、ビジネスの財務的健全性を知るには、どの測定値が最適なのでしょうか。

上記の3つの測定値はどれも非常に重要であるため、測定値の意味や、それが自身のビジネスについて何を語っているのかの理解が必要です。

本記事では、この「純利益」、「総収益」、「純収益」という3つの用語と、それがビジネスに与える影響について解説していきます。

「総」と「純」

「総」は、あるものの全体または「総額」のことであり、「純」は、全体から何らかの控除をした後に「残るもの」のことです。例えば、収益が500万円、経費が100万円のビジネスには、500万円の「”総”収益」【全体】と400万円の「”純”利益【控除後の残り】」があります。

会計・財務の分野では、財務諸表上のいくつかの項目に以下のような「総」があります:

  • 総収益:返品や返金などの項目を差し引く前の「総」売上高
  • 総資産:控除前の「総」資産額
  • 売上総利益率:【売上「総」利益】を【売上高】で割ったものをパーセンテージで表示したもの

財務諸表に表示される「純」額項目の例としては、以下のようなものがあります:

  • 純資産:一定の負債を「差し引いた後」の資産価値
  • 純利益:収入からすべての経費を「差し引いた後」に残るもの
  • 売上純利益率:【「純」利益】を【売上高】で割って、売上高に対する純利益の割合を示したもの

「収益」と「利益」

収益とは、企業が商品やサービスの販売によって生み出したお金の「総額」のことを指します。損益計算書の一番上に追加されるため、「トップライン」とも呼ばれます。

つまり、収益とは、経費が差し引かれる前の、事業が生み出す現金のことです。これは、ビジネスがいかに効率的に売上を生み出しているかを示すものですが、収益に大きな影響を与える営業効率は考慮されていません。

なので、ある企業が「トップライン成長」を果たしたという時は、それはその企業が収益または総売上高の増加を記録したということです。

それに対して、利益は、「総」であれ「純」であれ、企業の利益または収益の合計を指します。アナリストや投資家が企業の利益について議論するとき、彼らは純利益または企業の儲けを指しています。

「利益」と「収益」は、同義語として使用されることがありますが、純利益またはボトムラインは、追加の収入や経費を考慮した後の総収入を表しています。

では、以下の収益と利益の例で考えてみましょう:

2019年、Appleは26兆円のトップライン収益を計上しました。これは前年比2%の減少になります。また、Appleは同期に5兆5300億円の純利益を計上し、これは前年比7%減となりました。

上記から、純利益はその期間のアップルの経費を考慮していることにより、Appleの純利益は総収益より小さいことがわかります。この例は、ビジネスの財務を参照する際に、収益と収入の違いを明確に示していますね。

「総収益」と「純収益」と「純利益」

どのようなビジネスでも、その時々の成功度の把握が必要であるため、企業は経費の管理能力も含め、収益性の評価が必要です。

また、売上原価、従業員の給与、家賃、光熱費、事務用品など、経営上必要なコストを把握しておくことも重要です。

多くの場合、投資家は、売上を生み出すビジネスの能力と成長の可能性を示す点から、ビジネスの総収益に関心を持ちます。例えば、新しいSaaSサービスをリリースしたばかりの場合、新しいサブスクリプション・サービスの実行可能性を確認するために、総収益の追跡は非常に重要になります。

ただし、純収益や儲けを忘れていいというわけではありません。純収益はコストと価値に関連した意思決定をするためのベストな情報を与えてくれますからね。

例えば、あるサービスは多くの収益を生み出しているかもしれませんが、その製品に関連する費用を差し引いた後でなければ、真の収益性は分かりません。SaaSビジネスの場合は、顧客生涯価値(LTV)から顧客獲得コスト(CAC)を差し引くことで、これを予測することができ、そうすることで、そのサービスがビジネスとして採算が合うかどうかを知ることができます。また、ビジネスをより収益性の高いものにするために削減できるコストもわかります。

貸し手は、ビジネスに貸方を出す前に、このような指標も考慮します。相手方のビジネスに資本をもたらす可能性を知ることが目的であり、こういったメトリクスを理解することで、相手方のビジネスの債務返済能力を判断するのにもつながるのです。

1. 総収益とは

総収益は、経費を差し引く前の総額であり、税金、経費、源泉徴収前のすべての顧客請求額の合計になります。

それは、商品やサービスを売って得たお金のうち、経費を考慮しない金額です。

例えば、1件5000円/月で1000件の契約がある場合、その月の総収入は500万円(5000円×1000件)となります。

2. 純収益とは

純収益は、「純売上高」と呼ばれることもあり、事業から返金、返品、値引きなどの調整額を差し引いた総額のことを指します。

先ほどの例を使って、純収益の計算方法を説明しましょう。月の途中で20のサブスクリプションの解約があり、全額返金されたとします。

つまり、総収益から10万円(20解約x5000円)を差し引き、490万円の純収益となるわけです。

次に、解約を減らすために主要な競合他社と価格マッチングを行うことにし、競合他社の広告で価格が4000円の顧客が10人来たので、それぞれ1000円を返金します。

純収益は収益から調整額を差し引いたものですから、1万円(1000円の返金x10人)も引いて、489万円の純収益となります。このように、純収益を見れば、より完全な収益が把握できます。

3. 純利益とは

純利益は、事業が経費やその他の手当を差し引いた後に得る利益であり、経費を差し引いた損益の合計額です。

純利益は、総利益から、マーケティングや広告費、弁護士や専門家の費用、納税、オフィスや旅費など、すべての事業経費を差し引いて計算されます。

純利益は、損益計算書の最後の項目(ボトム:底)であるため、「ボトムライン」とも呼ばれ、純利益の値によって、自身のビジネスが利益を出しているかどうかがわかります。

純利益の計算は、まず純収益から、家賃や住宅ローンの支払い、材料費、光熱費、従業員の給料など、事業運営のための費用を差し引きます。これが課税収益となります。

税金で支払うべき金額を決定し、それを利益から差し引いた後の残りが純利益です。

例えば、年間の純収益が1500万円で、事業コストが600万円であれば、純利益は900万円(1500万円 ー 600万円)です。

純利益は、どのようなビジネスにおいても非常に重要なメトリクスです。例えば、総収益が純利益を大幅に上回っていることが分かったら、経費を評価して効率化を図ることができます。

まとめ

純利益、総収益、純収益は、あらゆるビジネスにとって大きな意味を持つ財務メトリクスです。戦略的・業務的な意思決定を行うためには、こういった数字をすべて把握する必要があります。

この3つの指標を正しく理解することで、ビジネスでのお金の流れがわかってきます。そして、無駄な経費を省いて収益性を上げることができるのです。

「総収益」は、経費を差し引く前の総額のことであり、税金、経費、または源泉徴収前の、ビジネスのすべてのクライアントの請求の合計です。

「純収益」は、事業運営での儲けから返金、返品、値引きなどの調整を差し引いた総額のことです。

「純利益」は、ビジネスで得たお金から経費やその他の引当金を差し引いた後の利益であり、経費を含めた後の損益の合計額です。

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