SaaSの価格設定が非常に難解な件 - Baremetrics Japan

Tomotaka Endo 2021 6 9

SaaSの価格設定は、ビジネスの中で最も悩むべき、そして難解な部分の1つになる可能性があります。特にSaaSビジネスには、以下の理由で価格設定に関する少し特殊な課題があります。

- SaaS製品の価格設定には、ほぼ無限の方法があります。

- SaaS製品の製造と保守にかかるコストは、一般的に顧客が受け取る価値とは無関係であるため、マージン(利益)に基づいた価格設定はほとんどの場合意味を持ちません。

- SaaSの定期的な請求は、価値が時間の経過とともに分散してしまう可能性があります。

- 多くのSaaS製品は異なるプランにパッケージ化されていますが、これは基本的に製品の異なるバージョンを作ることになり、複数の複雑なレイヤーが発生します。

SaaSの価格設定とは?

まず始めに価格設定ということですが、製品をどのように販売し、お客様にいくら請求するかということです。多くの場合、価格設定はよく用いられる「パッケージ」や「プラン」と同義ですが、この記事では、価格、パッケージング、プランに関連するすべてのものを単に価格設定と呼ぶことにします。

ビジネスにおける価格設定(プライシング)の重要性

価格設定は、ビジネスの一部として設定され、売り上げを出すための核となります。この価格設定は、あなたが自在に操れる、最も重要で十分に活用されていない成長レバーの1つではあるのです。

価格は、ユーザーあたりの平均収益(ARPU)、収益目標を達成するために必要な顧客数、解約率、顧客を獲得するために実行可能なチャネル、および拡張収益がビジネスモデルにどのように影響するかを決定する大きな要因でもあります。
顧客に提供している価値が価格と一致するように、年に2回ではなくても、少なくとも年に1回は価格を再検討する必要があることを心に留めておくと良いでしょう。

ただ残念ながら、価格設定は多くの企業にとって後回しになっている現状があります。多くの場合、創設者が初期の数時間で立ち上げ時に適当な価格を設定し、投資家が本質的に強制した場合にのみ、この価格設定に大きな変更を加えているのが現状です。

本当ならば、製品、マーケティング、運用など、ビジネスの他のすべての重要な部分と同じくらい注目に値すべき部分なのです。
価格設定は、ビジネスのあらゆる部分のコアな部分と考えてください。

価格設定はマーケットがあなたのサービスをどのように認識するか、競合他社とあなたの立場、顧客からの期待値、あなたの製品がどのように広がっているか、あなたがターゲットとするユーザーのタイプなどに影響を与えます。

以上より、その重要性の重みを考えると、あなたのビジネスにとって意味のある価格設定モデルをどのように決定すべきなのでしょうか?

SaaSの価格設定が価値に関連づけられるべき理由

「価格はあなたが支払うものであり、価値はあなたが得るものです。

ウォーレン・バフェット

Hostifiの創設者であるReillyChaseは、価格をコストベースからバリューベースに変更した方法を説明してくれました。彼の特定のサービスでは、通常5ドルのサーバーで125台のUniFiデバイスを処理でき、約75%の利益率が必要だったため、月額19ドルを請求しました。彼が見落としていたのは、顧客の80%が30台未満のデバイスを使用しており、それらの多くは1〜10台のデバイスしか使用していないということでした。価格がニーズに対して高すぎ、現在の顧客が実際に使用しているものに対して過剰に支払っていると感じたため、潜在的な顧客はサインアップしていませんでした。

各ティアの価格と機能を変更することで、彼は各顧客が製品から得た価値とより密接に連携することができました。それだけでなく、顧客の成長と拡大による収益へのはるかに実行可能な道があります。以前はごく少数の顧客だけが125デバイスの制限に達し、次の価格帯にアップグレードしていましたが、現在、顧客は、ニーズがより高度になるにつれて、はるかに低いデバイス制限でより高い層にアップグレードし、より多くの機能を利用するように促されています。

Before

画像1

After

画像2

ちなみに、上図の49〜250ドルのデバイス、99〜500ドルのデバイスプランは上記に表示されていません。

そして、これは別の重要な教訓をもたらします。より多くの料金を請求できるからといって、そうすべきだという意味ではありません。

ReillyとHostifiにとって、それは実際には彼の顧客のセグメントに対してより少ない料金を請求することを意味しました。しかし、それはまた、製品からより多くの価値を実現していた他のセグメントにより多くを請求する道を開きました。

確かに、彼は古い価格設定モデルを維持し、小規模なユーザーに月額19ドルを請求し続けることもできましたが、最終的にはそれほど多くの価値を実際に受け取らない可能性がありました。

顧客は請求されている金額よりも多くの価値を受け取っていることを認識そして実感することが重要です。顧客が支払っているのと同じくらいの価値を受け取っている場合、実際にはあまり利益を得ておらず、製品を使用することの価値に気付かない可能性があります。

「大金を稼ぐ」を叶える最良の方法は、顧客が受け取る価値と支払う価格を比較することです。これを価値と価格の比率と呼ぶべきでしょう。

 1:1の価値と価格の比率は、顧客が支払っているのと同じくらいの価値を提供していることを意味します。これは合理的と思われますが、顧客はそれから多くを得ていないと感じ、他の何かをより低価格で見つけようとします。価値と価格の比率が10:1の場合、顧客は実際には他の人にそれについて話し、長い間固執する義務があると感じてくれます。

どうしても商品にぴったりでマッチする資格のある顧客が解約して、高すぎると言ってきた場合はどうでしょうか。それは、価値と価格の比率が彼らの観点から十分に高くなかったことを意味する可能性があります。しかし、まだあなたの価格を下げてはなりません。

このフィードバックは、あなたにとっていくつかの異なることを意味します。

1. あなたの価格はあなたの製品が提供する価値に対して高すぎる

2. 顧客はあなたの製品の潜在的な価値を十分に理解していない

3. 顧客の要求があなたの製品にはフィットしていなかった

賢く聞く人を選んでください。ただし、価格設定に関するフィードバックはすべて慎重に検討すべきです。

また、そのフィードバックを異常と呼びたくなるかもしれません。提供したい価値と価格の比率について批判的に考えてから、顧客がそれを達成していない理由を理解するように努めるべきです。

コストベースの価格設定モデルで必要な利益率をリバースエンジニアリングする代わりに、提供する価値と価格の比率をリバースエンジニアリングし、それを使用して価格設定モデルを決定してみるのがいいでしょう!

価格を変更した時に、売り上げがどう変わるかについて詳しく知りたい方は、アナリティックスツールのご使用をオススメします。特にBaremetricsは、価格に関する比較がしやすいので、とてもオススメです。是非、ご利用ください。

Tomotaka Endo

Tomo Endo is a dynamic professional with a rare blend of achievements in technology, community leadership, and sports. As the Co-Founder of Nihonium.io since August 2023 and Community Lead at Xenon Partners since September 2019, Tomo has been pivotal in driving innovation and fostering community engagement within the tech industry in Tokyo, Japan. His role in facilitating growth and providing actionable insights at Baremetrics, coupled with his contribution to MetricFire's technical monitoring community, underscores his proficiency in leveraging technology to nurture professional communities. Beyond his tech-centric endeavors, Tomo has excelled as a professional athlete in squash, achieving the no.1 ranking in Japan and a global ranking of 79th by August 2020.