総支出の管理:How to ガイド - Baremetrics Japan

Tomotaka Endo 2022 8 7

経営者というのは、常に会社の財務について考えているものです。

利益率の最大化にはどうすればいいか?広告やリサーチにもっとお金をかけるべきか?ビジネスの成長は長期的に持続可能だろうか?

この3つの疑問に対する答えは、経費(支出)を見ればわかります。というわけで本記事では、どのような経費を把握すべきなのか、またどのように計算し、長期的に管理すればよいのかを説明します。

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総支出とは

企業の総支出とは、運営に費やされたすべての費用の総額です。

給与、インターネット通信費、交通費、ソフトウェア購読、機器購入、ハードウェア修理、広告費などは、SaaS企業の経費に挙げられるコストの一例です。

総費用は、成長性分析の重要なメトリクスの一つでもあります。

ヘルプ:総支出の計算法は?

追跡してないですか?心配いりません。

ここでは、収入、収益、自己資本から総支出を簡単に計算する方法をご紹介します。

純利益 = 期末自己資本 - 期首自己資本

総支出 = 純収入 - 純利益

例えば、ある会社の自己資本が100万円から1000万円に増えたとします。そうすると、純利益は900万円になります。記録された総利益は1500万円だとすると、総支出は600万円であったはずです。

これは総支出を逆算するのに便利な計算式ですが、経費の内訳の詳細な記録は、コスト削減、成長予測や予算の決定に役立つ、ビジネスにとって非常に貴重な管理ツールになります。

総支出の把握

ある小さなウェブ開発会社が、MRR(月間経常収益)40万円から70万円へと収益を伸ばしました。収益だけで、この会社の利益はほぼ2倍になったようです。

ところが、顧客層拡大に向けての広告費、研究費、ハードウェアのコスト上昇が発生したため、毎月の総費用は30万円から60万円へと上がってしまいました。なので、結局のところ会社の純利益は、変わらず毎月10万円となります。

また、原価・収益率も75%から85%へと悪化しており、取引先や投資家にとって魅力的な企業ではなくなりました。

この情報に基づいて、創業者は、同じ純利益を得るために余分なお金と労力を使い続けるよりも、規模を縮小して、当初のニッチな顧客ベースに集中することを選択するかもしれません。

次に、経費の中には税金の控除が可能なものがあります。経費の追跡を正確に行うことで、企業は税控除や税制上の優遇措置を受けることができ、さらに低税率に移行できる可能性もあります。

経費の把握方法には、大きく分けて2つの方法があります。1つ目は、規則性に基づいて、固定費、経常費、非経常費、臨時費に分ける方法です。もうひとつは、費用の種類による分類です。

固定費、経常費、非経常費、特別費 とは

固定費とは、インターネット料金や家賃など、原則として毎月決まった日に決まった金額で発生する標準的な料金のことです。

経常費用とは、事務用品、ビジネスランチ、雑貨など、時間的・金額的に標準的ではないものの、貸借対照表上ではかなり定期的に発生する費用のことです。

非経常的費用とは、予定外のシステムメンテナンスや超過通話料金など、予測不可能でありながら、大抵避けられない費用のことです。

臨時費用とは、水害、医療事故、無保険の訴訟など、突然襲ってくる災害等の費用のことです。

では、なぜ定期的かどうかで経費を分類するのでしょうか。そうですね、定期的ということは、予測可能ということでもありますから、将来の支出を見積もるには、過去の支出を基にするのが一番ですよね。

規則性によって費用を分けることで、短期、中期、長期のビジネスコストの予測を出しやすくなります。

この方法で、解約し忘れたソフトウェアの試用版など、隠れたコストの洗い出しもできます。

最後に、このモデルに基づいて、まさかの時のための緊急資金用は別会計で設けておくといいかもしれません。緊急用資金を別で持っておくと、予算編成がしやすくなるだけでなく、より良い予測を立てることもできます。

例えば、個人会社を経営するあるソフトウェア技術者が、ハードウェアの重大な故障に見舞われ、直前の交換と人件費、緊急のデータ復旧で120万円の費用が発生しました。

このため、年間の利益は昨年に比べて10%減少し、会社の将来の成功の予測は、このマイナス成長を踏まえたものになります。

ただ、この費用は例外的なものであるため、将来の予測には考慮されるべきではありません。このように、費用勘定を別にすることで、より正確なコスト・モデルの作成ができます。

セールス&マーケティング、一般管理、研究開発部門

また、費用の分類方法として、【S&M(セールス&マーケティング)】、【G&A(一般管理)】、【R&D(研究開発)】というタイプ別の分類法もあります。経費をタイプ別に分類する主な理由は、企業の経費の広がりを把握し、競合他社との比率の比較をするためです。

この方法を用いると、例えばあるデータ管理会社では、競合他社に比べてマーケティングに2倍の割合で経費をかけていながら、研究開発には半分しかかけていないことがわかり、これでは近い将来、より新しいが研究熱心な競合他社に追い越される可能性があるという見解が挙がるかもしれません。

また、金額とカテゴリー別に分類された支出リストは、今後、企業が各部門に効率よく予算を配分するための基礎となるものです。

Quickbooks Onlineは、この方法で経費を記録するのに最適なツールです。簡単なガイドも作ったので読んでみてください。

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総支出比

TER(総支出率)は、以下の計算式に基づいて、企業の資本に対するコストをパーセンテージで比較したものです。

TER = 総コスト÷ 総資産

その割合が低ければ低いほど、その事業を運営するための比例コストは低くなります。

この比率は静的なものだけでなく、長期に渡って企業のパフォーマンスの追跡ができます。

例えば、ある大手プロジェクト管理会社が顧客基盤を拡大しました。その結果、1年後に会社の資本とコストの両方が大幅に増加しました。費用の増加が比例しているかどうかを判断するには、TERの追跡することが重要です。理想的には、ビジネスがより効率的になるにつれて、TERは減少していくはずです。

これは社内で使うだけでなく、競合他社とパフォーマンスを比較することもできる貴重なベンチマークです。例えば、もしあなたの会社のTERが、同じ分野で同規模の競合他社よりもはるかに高い場合、経費を使いすぎている可能性があります。

TERは、事業への投資を検討している第三者にとっても同様に重要なメトリクスになります。TERが大きく変動した場合、事業の変動が示され、投資リスクと判断される可能性があります。

総支出の管理

専用ソフトを使うにせよ、自社で支出を管理するにせよ、経費の効率的な管理は、企業にとって極めて重要です。

もし、会計のリソースがあるのなら、ZBB(ゼロベース予算)方式を試してみてはいかがでしょうか。ZBBの原則は、会社の設定した目標の1つに向けて、すべてのお金を意識的に配分することです。この目標は、各費用の必要性や有用性の確認のために、定期的にチェックされるべきです。

無駄な支出をなくすもう一つの方法は、蛍光ペンを用意することです。会社の毎月のクレジットカードの明細をプリントアウトし、それぞれの請求額を確認します。マーケティング、間接費、開発費などのカテゴリーごとに異なる色を使い、スプレッドシートに集計すれば、お金がどこに使われているのかが一目瞭然です。この作業は、ホテルのダブルブッキングやカード決済の二重引き落としなど、誤った請求の特定にも役立ちます。

専用のスマホアプリは、外出先での現金支出の記録に最適です。簿記ソフトによっては、アプリと直接連携できるものもありますよ。

どのような方法を選んだとしても、経費の総額を把握しない手はありません。よりスマートな予算編成、より正確な予測、不要なコストの排除など、集まる情報はあなたのビジネスにとって計り知れないものとなるでしょう。経費の管理に費やした時間は、それだけで元が取れるのです。

SaaSやサブスクリプションビジネスを成長させているならば、Baremetricsを使うべきでしょう。今すぐ無料トライアルを始めてみてください。

Tomotaka Endo

Tomo Endo is a dynamic professional with a rare blend of achievements in technology, community leadership, and sports. As the Co-Founder of Nihonium.io since August 2023 and Community Lead at Xenon Partners since September 2019, Tomo has been pivotal in driving innovation and fostering community engagement within the tech industry in Tokyo, Japan. His role in facilitating growth and providing actionable insights at Baremetrics, coupled with his contribution to MetricFire's technical monitoring community, underscores his proficiency in leveraging technology to nurture professional communities. Beyond his tech-centric endeavors, Tomo has excelled as a professional athlete in squash, achieving the no.1 ranking in Japan and a global ranking of 79th by August 2020.