価格のローカライゼーション グローバル戦略- Baremetrics Japan

Tomotaka Endo 2022 5 15

グローバル市場で成功するためには、競争力のある価格設定が鍵となります。現在、世界には2億1300万社の登録企業があり、それぞれがサービス、カスタマーケア、価格などの面で競い合っています。

価格は、消費者がどの製品やサービスを購入するかを決める最大の要因の1つです。企業にとって、価格はビジネスのキーなので、利益を確保しつつ、消費者にできるだけ安くサービスを提供しようとします。そのための価格戦略は、スキミングプライスや価格ローカライゼーションなど、いくらでもあります。 

複数の国や地域で事業を展開する企業は、より多くの顧客を獲得し、収益を拡大するために、価格のローカライゼーションが進んでいます。 

これは特に、実店舗をあまり持たないSaaS型ビジネスには有効です。

価格ローカライゼーションとは?

価格ローカライゼーションとは、製品やサービスの通貨や単価を、顧客の地域によって変更することです。

価格ローカライゼーションには、大きく分けて2つのタイプがあります:

  • 表示通貨の変更
  • 商品単価の変更

表示通貨の変更は表面的な変更と思われがちですが、大きな影響を与えることがあります。特に経営に大きな影響を与える製品を自国通貨で見ることができれば、消費者は、その企業はその国の市場で成功する努力をしていると感じるでしょう。

さらに消費者は、現地通貨で価格が表示されているサイトをより信頼する傾向があります。

製品やサービスの単価を変更するのは、もう少し複雑です。

生活や仕事のコストと地域の競争の度合いは、立地による価格変更の判断を左右する2大要因です。

一般的に、競争に打ち勝つために価格を下げるという方法がありますが、その逆もまた然りです。競合がひしめく地域では、低価格で競争力のある価格を提示しないとサービスが苦戦する可能性が高いです。一方、競合が少ない、あるいはいない地域では、より高い価格を設定することができます。

価格のローカライゼーションは、単独でも、eコマースの個別化戦略の一環としてでもできます。E コマースの個別化は、顧客のニーズにより深く関わり、ユニークなショッピング体験を提供することで、ビジネスの成長を促す人気の高い戦略です。

価格ローカライゼーションを使う理由

価格ローカライゼーションは、正しく使えば、競争の激しい地域に新しい顧客を呼び込むことができ、競争の少ない地域でも、顧客のニーズや、同じ製品やサービスの他所での入手しやすさに応じて料金を設定することで、収益を上げることができます。

価格ローカライゼーションは、分析で売上を伸ばすための戦略としても最適です。顧客層の所在地に応じた分析データを集めることで、しっかりとした価格ローカライゼーションプランができ、売上促進に貢献することができます。

優れた価格ローカライゼーション戦略の策定方法

価格ローカライゼーションの戦略は、ビジネスの規模や性質によって変わってきます。

例えば、アメリカ西部でコンタクトセンターのソフトウェアを出す場合、生活費の違い、地域の競合、都市部と農村部などの要因を考える必要があるでしょう。

一方、12カ国で事業を展開する国際コールドコールシステム事業では、現地通貨やサービス提供の世界規模での差異を考慮しなければならないでしょう。

1. 現地通貨に注目する

これは、価格ローカライゼーションをビジネスモデルに導入する最もシンプルな方法です。顧客が自分で通貨を切り替えられるようにするか、ウェブサイトが自動的に現地通貨で読み込まれるようにするかのどちらかを選べます。

前者は、顧客が国際的なビジネスでもある場合にとてもいい選択肢となります。ビジネスによっては、すべてのビジネスを現地通貨で行いたい場合もありますし、国際通貨として米ドルを使用したい場合もあります。

現地通貨が良いというのは、顧客が海外の顧客として認識され、評価されていると感じるからです。また、海外の顧客との取引は安全であるという信頼関係を築くことができます。

2. リサーチ

価格ローカライゼーションには多くのリサーチが必要ですが、その努力は報われるので安心してください。

まず、顧客の所在地に応じて、何が求められているかの調査が必要です。価格ローカライゼーションは、「世界中の顧客が、それぞれの地域性を考慮した上で、ニーズに応えてくれることを望んでいる」という前提のもとに行われます。

そのためには、さまざまなアプローチが考えられます。

  • 既存の顧客に、どうすれば彼らのニーズにより応えられるか尋ねる
  • 自身のビジネスの経験を見直し、顧客の立地を考える 
  • 競合他社のブログを参考にするなどして、競合他社は何が役に立つと見ているのかリサーチする
  • 地域別の販売データを分析し、販売数が芳しくない点を探る

次に、生活コスト、労働コストの世界規模での違いを理解する必要があります。下の図は、世界の生活費を低いもの(緑)から高いもの(赤)まで示したものです。(リソース

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競争を利用した価格ローカライゼーションは、それほどうまくはいきません。労働コストが高く、競争の少ない地域では、高すぎる価格設定によって市場から排除される可能性があります。顧客は自分のニーズを満たす質の高いサービスに対してお金を払うものです - それが実際に可能である限りの話ですが。

国や地域によって異なる市場標準コストを理解し、適切な価格を設定することが重要です。

また、どのようなものが顧客満足度を測る指標としてあるのかを把握することも、リサーチの1つとして考えておくとよいでしょう。価格設定は顧客満足度の重要な要素であり、これを理解することで、自身の戦略が効果的なのか、それとも見直す必要があるのかの確認ができます。

3. SNSの力を活用する

SNSは、長期的な顧客関係を築き、顧客のニーズを常に把握するにはとてもいいツールです。またSNSは、顧客の所在地に応じた効果的なアプローチ方法にもなります。

SNSの効果はB2BマーケティングとB2Cマーケティングでは少し異なりますが、適切なプラットフォームとアプローチを使用することで、売上と収入に違いが出てきます。

顧客とのコミュニケーションにおいて、ウェブサイトよりもSNS頼りの可能性が高い中小企業をターゲットにすることを検討しましょう。

例えば、Facebookで中小企業向け決済管理システムの広告キャンペーンを実施する場合を考えてみましょう。地域ターゲットはアメリカ東部とイギリスです。

表示する広告は、顧客の所在地によって異なる価格設定モデルを掲載できます。つまりこの例では、ニューヨークやロンドンのような競争の激しい地域ではより低い価格を、競争の少ない地域ではより高い価格を提供したいと考えるでしょう。

顧客が最も利用するネット空間で交流することで、顧客生涯価値を大きく上げることができ、SNSをリサーチツールとして活用することで、顧客のさまざまな経済的ニーズがわかります。

4. おまとめプランについて

バンドル価格設定やサービスパックの提供は、価格ローカライゼーションを活用する上で非常に有効な手段です。各地域の具体的なニーズを認識することで、地域ごとにバンドルを調整し、ニーズと競合に応じた価格設定ができます。

カスタマー・コミュニケーション・システム(CSS)を例にとって考えてみましょう。このCCS事業者は、顧客とのコミュニケーション・システムの構築を希望する新規事業者を対象としているとします。都市部にあるスタートアップ企業で、顧客はすべて狭い地域に住んでいる場合、多くの電話会議とVoIPインフラの負担に対応できるシステムを必要とするかもしれません。

一方、地方にあるスタートアップ企業で、顧客が広い地域に分散している場合、貧弱なインターネット回線でも管理できるシステムが必要になることがあります。また、物理的に会うことが難しい顧客とデジタルでやり取りするために、クラウドソリューションが必要になることもあります。

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この通信会社では、このニーズを両方とも満たすバンドルの検討が必要であり、顧客の所在地と、その結果直面する可能性のある価格競争のレベルに応じて、これらのバンドルの価格を設定しなければいけません。

企業のニーズに合わせて、中小企業の電話番号やコミュニケーション・コンサルタントなどの特典を付けるといいかもしれませんね。

5. 目標を持ち続ける

なぜこの戦略を立てるのですか?この問いに対する答えを常に念頭に置きながら、価格ローカライゼーション戦略を立てることで、目標達成に集中して取り組むことができます。

例えば、ある国からの顧客を10%増やすことが目標であれば、その国のSaaS市場で解決できる包括的な問題があるかどうかを理解することに集中した方がよいでしょう。

さらに、その市場やニーズに合わせた独自のパックやバンドルを提供することも検討し、その国の平均的な運用コストや競争の度合いも考慮に入れましょう。

最後に

競争の激しいグローバル市場で働くのであれば、価格ローカライゼーションは、競争力のあるオペレーションを実現し、特定の地域でより多くの顧客を獲得することができることから、企業にとって重要なビジネスプロセスなはずです。

最後に、地域ごとの労働コストの違いや、個々のビジネスニーズも考慮することができ、真の意味で国際的な店舗展開への道を開くことができるのです。

プライシングを行う際は、様々なデータが必要となります。Baremetricsを使用すれば、26以上のビジネス指標を確認することができ、最適な価格を見つけ出すのに役立ちます。無料トライアルもございますので、ぜひお試しください。

Tomotaka Endo

Tomo Endo is a dynamic professional with a rare blend of achievements in technology, community leadership, and sports. As the Co-Founder of Nihonium.io since August 2023 and Community Lead at Xenon Partners since September 2019, Tomo has been pivotal in driving innovation and fostering community engagement within the tech industry in Tokyo, Japan. His role in facilitating growth and providing actionable insights at Baremetrics, coupled with his contribution to MetricFire's technical monitoring community, underscores his proficiency in leveraging technology to nurture professional communities. Beyond his tech-centric endeavors, Tomo has excelled as a professional athlete in squash, achieving the no.1 ranking in Japan and a global ranking of 79th by August 2020.