効果的な紹介プログラムを作成するための3つのコツ - Baremetrics Japan

Tomotaka Endo 2022 5 9

クチコミでのポジティブな評価は、企業が期待する最も貴重なフィードバックです。ユーザーが満足した製品を家族や友人、同僚に薦めるということは、あなたが何か素晴らしいもの、文字通り特筆するものを作ったということの証明です。

紹介プログラムは、ユーザーの満足度を大いに生かす有効な手段であり、高い効果を発揮するとともに、非常にリソース効率の高いキャンペーンですが、この種のマーケティングは、予算も労力もほとんどいりません。ただし、そのためにはもちろん戦略が必要です。

(混乱を避けるために、今回は有料のスポンサーシップや推薦、アフィリエイトマーケティングのキックバックは対象外です。この記事は、紹介ボーナスについての説明はありますが、主にお金儲け的な要素がない場合の紹介制度に焦点を当てています。)。

紹介制度がスタートアップにとって重要な理由

口コミでの評判は、テック産業におけるマーケティングの最大のイコライザーです。

広範囲な広告キャンペーンを実施したことがある人なら、これらのコストがどれほどの勢いで膨れ上がるか分かるでしょう。大企業が予算を叩いて、最高級のSEO(Search Engine Optimization)を購入し、サッカーのハーフタイムにテレビ広告を流し、高層ビルからブランドのバナーを吊り下げるなどするので、スタートアップは、常に有料広告スペースで不利な立場に立たされることになるのです。

では、あなたが中小規模のSaaSビジネスだとしたら、それにどう対抗していきましょう。大規模でいけないなら、個を攻めるのです

ここで、紹介が出てくるのです。でもあなたは、紹介というのは本質的に親密さの上に成り立つものだからビジネスとしては自分では影響もコントロールも及ばないのではと感じるかもしれません。

もちろん、この考え方には根底にある真実があります。自分がいいと信じていない製品を無償で薦める人なんていないでしょう。

つまり、ユーザーに製品をオススメしてもらうための最善策は、ユーザーにその製品の価値を大いに感じてもらうことです。例えば、「痒いところに手が届き、カスタマーサービスが充実していて、コスパがいい」と三拍子揃っているとか。

もちろん、これらの基準は製品自体に備わっていることが前提です。では、純粋にマーケティングによってクチコミを促すにはどうしたらよいのでしょうか。

ここでは、効果抜群の紹介プログラムを作成するための3つのコツをご紹介します。

コツその1:サッと簡単に使える紹介プロセスを構築する

誰かに製品を勧めてもらいたいなら、簡単にオススメできるようにしてあげましょう! ユーザーにとってよりわかりやすい紹介プロセスにする方法はいくらでもあります。

1. 可視性

クチコミ、閲覧数、顧客との結びつき、バイタリティに依存する企業が、なぜ「共有」または「紹介」ボタンを目立つように表示するのか。これは提案であり、念押しでもあるのです。このような共有機能がなければ、紹介制度のようなミームは存在しなかったと言っても過言ではありません!

一方、多くのSaaSサイトでは、紹介プログラムをシステムの奥深くに隠してしまうという失敗を犯しています。

当然ながら、ユーザーがソフトウェアを使用している間に作業の邪魔はしたくありません。でも完了させたいタスクは、積極的にユーザーの目に留まるようにしておかないといけません。となると、紹介プロンプトは閲覧者の視界周辺に入り、かつページの機能性を妨げないものでなければなりません。

また、一定時間ごとにメールでのプロンプトやユーザーのダッシュボードに小さなポップアップメッセージを表示するなど、紹介を完了するためのリマインダーが送信されるといいでしょう。

2. サポート

ユーザーのワークフローを妨げないよう、紹介プロセス全体が早くて合理的であることは不可欠です。このプロセスでの摩擦を最小限に抑えることができれば、より多くのユーザーからの紹介が得られるでしょう。

紹介プロセスを効率的にする方法はいくつかあります:

  • 紹介画面をポップアップ表示するか埋め込むことで、ユーザーの現在の作業ページからクリック移動することなく、すべての動作を完了できるようにする。
  • すべてのプロセスを1ページ内で完結させる。
  • ユーザーが一度に複数人に紹介状を送ることができるようにする。
  • 電子メール、Facebook、Twitter、Instagram、Discord、Slack、LinkedInなど、人気のあるプラットフォーム全てでプロセスを互換させ、潜在的な紹介範囲を最大化する。
  • ユーザーが選択し、カスタマイズできるメッセージ・テンプレートを提供し、さらに自分だけのメッセージを入力するオプションも提供する。(ここでは、効果的なテンプレートメッセージの例をいくつかご紹介します。)

3. 明瞭性

何を提供しているのか一目でわかるように具体的に説明することです。

紹介ボーナスや割引を提供する場合、具体的な金額を提示します。つまり、「10%割引」や「3ヶ月分無料」よりも、「年間購読料から150ドル割引」の方がずっと効果的なのです。

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コツその2:受信者に合わせたメッセージの作成

負担のないプロセスというのは、紹介を受ける側にも必要です。

このような人は、一般的な見込み客とは異なることが多いため、対応すべきニーズも異なります。その場合、すでに市場調査を行ってからあなたの元にやって来る見込み客よりも、より先行した情報や手厚いサポートを必要とすることもあり得ます。

摩擦を減らし、紹介した見込み客にトライアルのサインアップを促す方法はいくつかあります。

  • サービスについて簡単な紹介をする。
  • 紹介したユーザーが送ったメッセージを再度送り、なぜこの製品がその人に合うと思ったのかを改めて説明する。
  • ソフトウェアのビデオチュートリアルをリンクし、トライアルと導入の段階でどのようなサポートが受けられるかを説明する。
  • 一回限りのサインアップ割引や紹介ボーナスを提供している場合は、それらを強調する。

コツその3:メッセージを選ぶ

効果的なキャンペーンには矛盾がありません。

しかし、これは一見、当たり前のことのように思えますが、実は1つのキャンペーンで全ての分野をカバーしようとするのは、非常によくある間違いなのです。その結果、メッセージが全体的に統一性がなくなってしまうのです。

紹介を募るには様々なアプローチがありますが、最大限の効果を得るには、そのうちの1つを選び、その価値観を一貫させることが重要です。

タイプ1:製品価値重視型紹介

このタイプの紹介では、ユーザーは単純に、紹介する相手にとって価値があると思ってあなたの製品を勧めるのです。ボーナスやその他の物質的な利益はなく、同じようにその製品から恩恵を受けるであろう人と素晴らしいサービスを分かち合うという満足感のみです。

また、価値重視型紹介によって製品を薦められることは、その分野での実力を知ることができます。金銭的な動機がないため、価値による紹介があれば、あなたの提供するサービスが紛れもなく素晴らしいものであるということが確実にわかります。

このタイプの紹介のメリットは、コストがかからないということです。

タイプ2:報酬重視型紹介

その一方で、報酬重視の紹介もあります。ユーザーへのメッセージは、「紹介してくれたら、○○を差し上げます」です。この「○○」は、賞金、提携商品のギフトカード、サービスの割引など、何でもかまいません。

報酬重視型プログラムは、ユーザーが複数の紹介ボーナスを積み重ねることができれば、より効果的です。企業によっては、AさんがBさんを紹介するとボーナスがもらえるだけでなく、BさんがCさんを紹介するとキックバックがもらえるなど、マルチレベルのシステムを構築しているところもあるようです。

このシステムは早く結果が出るので人気がありますが、大きな欠点が多々あります。

  • できるだけ多くの人に紹介を送るという金銭的なインセンティブがあるため、その紹介者の多くが製品と合わない人をターゲットにしてしまい、最初のトライアルで辞めてしまう。
  • 有料サービスの契約ではなく、トライアルのコンバージョンに対してボーナスを提供すると、必ず損をする。
  • トライアルコンバージョンが増えれば増えるほど、チームの負担が増え、最も価値のあるユーザーのケアに割く時間が少なくなる
  • ユーザー離れやトライアルコンバージョンの失敗が急増するのは必至であり、それが投資家にとって赤信号となる可能性がある。
  • マルチレベル・マーケティングやマルチ商法の悪評には理由があるはず。ブランドの評判を守るために、二次的なキックバックを使用するキャンペーンには注意が必要。
  • この2020年の調査によると、紹介の報酬が高いと、実は全体の収益性は低下。

タイプ3:寛容主義型紹介

紹介プロセスを最適化したにもかかわらず、価値主導型のオススメが組織的に行われず、報酬主導型の紹介のリスクがSaaS企業の潜在的利益を上回っている場合は、第三の選択肢として寛容主義型の紹介を検討してみてください。

この2019年の実験のようなクチコミマーケティングに関する研究では、最も成功した紹介プログラムは、紹介するユーザー自身ではなく、商品を紹介された人が得られる利益を重視していることが実証されています。

なぜでしょうか?多くの人にとって、友人や同僚の注目度を利用することは、あまり「健全」な印象はありません。しかし、もし彼らにとって具体的な利益があるのなら、この取引は頼みごとというより、報酬の山分けをするようなものだと感じるでしょう。

同じ実験で、紹介する側と紹介される側の両方にボーナスを提供する紹介プログラムは、紹介される側の利益を強調している表現であれば、プログラムの効果が高いことが分かっています。つまり、『お友達を誘って20ドル引きになれば、あなたも20ドル引きになります。』という文言は、圧倒的に効果的なメッセージの表現なのです。

紹介制度でSaaSビジネスを成長させる

どの方法を選ぶにしても、効果的な紹介キャンペーンを行うための鍵となる要素である「シンプルさ」「即時性」「一貫性」を忘れないようにしましょう。

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Tomotaka Endo

Tomo Endo is a dynamic professional with a rare blend of achievements in technology, community leadership, and sports. As the Co-Founder of Nihonium.io since August 2023 and Community Lead at Xenon Partners since September 2019, Tomo has been pivotal in driving innovation and fostering community engagement within the tech industry in Tokyo, Japan. His role in facilitating growth and providing actionable insights at Baremetrics, coupled with his contribution to MetricFire's technical monitoring community, underscores his proficiency in leveraging technology to nurture professional communities. Beyond his tech-centric endeavors, Tomo has excelled as a professional athlete in squash, achieving the no.1 ranking in Japan and a global ranking of 79th by August 2020.