オプション製品価格設定とその活用法 - Baremetrics Japan

Tomotaka Endo 2022 5 12

オプション製品価格設定とは、製品の核となる部分を基本価格で販売し、別途料金で補足的なサービスメニューを提供する価格戦略のことです。ユーザーは、これらの追加ツールを個別のアイテムとして選択することができます。

オプション製品価格設定には、しばしばロスリーダーという概念が用いられます。ロスリーダーとは、消費者に長期的により多くの製品を購入してもらうために、市場価格よりも安く販売する製品のことです。

典型的な例として、ゲーム機本体は赤字で販売されることが多いです。消費者は最初の購入から数年間は、値上がりしたゲームソフトを購入しなければなりませんが、実はそこが利益が発生するところなのです。

ロスリーダー戦略は、ゲーム会社やその他の物理的な商品メーカーが典型的な採用例ですが、それだけではありません。オプション製品価格設定は今日、多くのSaaS企業で定期的に採用されています。

本記事では、オプション製品価格設定戦略について、その長所と短所を説明し、実際に使用されている事例を紹介します。

ところで、Baremetricsは、新しい価格戦略の効果を数クリックで測定することができます。無料トライアルに申し込むか、デモをご覧になって、ユーザーを混乱させることなく、価格変更の効果をマッピングしてみてください。

オプション製品価格設定とは

オプション製品価格設定は、メインの製品とそれに伴う多数の「オプション製品」を扱うようなビジネスの間では一般的な価格戦略です。一応「オプション」とは言われてますが、後述する使用例で見るように、これには色んな意味が含まれ、正確にはオプションではないことが多いです。

総収益を最大化するために、各製品に別々の価格を設定する企業もあります。主製品は通常、競合製品よりも自社の主製品を購入してもらえるよう促すため、低価格または赤字覚悟で設定されます(そのため「ロスリーダー」と呼ばれます)。

顧客はシステムを購入すると、製品の価値を最大限得るために、さらなるサービスや付属品を購入しなければならないことにすぐに気がつくでしょう。するとユーザーはすでにメイン製品の使用に縛られているため、企業はこれらの追加オプションに対してより多くの料金を請求できるようになります。

この仕組みは、「サンクコスト(埋没コスト)」という概念で成り立っています。基本的に多くのユーザーは、最初の購入時に最も安いものを選び、必要な付属品にかかる長期的なコストを見落としてしまうのです。

バンドル価格とそれを代用する場合

オプション製品価格設定の反対は、バンドル価格設定です。バンドル価格で設定は、個々の機能や付属品をまとめて販売し、合計の価格を設定します。

サービスを提供する企業として、付属品がなくてもメインの製品から良い価値を得られる場合は、バンドル価格はより良い選択肢です。追加オプションを一纏めにすることで、ユーザーは通常使わないようなツールを試すことができ、追加機能の開発コストが確実にカバーされます。

皮肉なことに、オプション製品価格設定は、製品の付属品がオプションでない場合に、最もよく採用されるのです。

オプション製品価格設定の2つの要素

オプション製品価格設定がうまく機能するには、「主製品」と、「少なくとも1つの補足的な機能」という、最低でも2つの製品が必要です。

さらに、オプション製品価格設定がうまくいくには、ある特徴がこの構成要素に備わっていなければいけません。では、それについて見ていきましょう。

主製品

主製品は最も高価な部品であるべきであり、その機能は、そのサービス全体の主なセールスポイントであるべきです。また、その機能をユーザーに誤認させることなく、主製品は他の製品がないと「不完全」なものであるようにするべきです。

この場合の「不完全」とは、ゲームソフトのないゲーム機本体から、機能は十分でも、利用価値を最大限に引き出すためにプラグインやアプリを必要とする限定的なプラットフォームまで、あらゆるものを指します。

前者はあからさまに不完全でそれ自体では使えないですが(例えば任天堂ゲーム本体だけあってもソフトがないと使えない)、後者はそうではないです(例えばWordPressはプラグインがなくても使用に問題ないですが、ほとんどのユーザーは最終的にかなりのプラグインを追加せざるを得なくなります)。

どちらの場合も、ユーザーが補足的な製品の必要性について騙されたと感じないようにすることが重要であり、ユーザーが主製品から優れた価値を得られることに、引き続き注意していかなければいけません。

補足的な製品

オプション製品の成功例は、2つに分類されます:

  • 追加オプションが1つ2つだけでなく、メインの製品と一緒に使える補足的な製品が多数用意されている(例:プレイステーションのゲームソフトを多数買える)
  • 補足的な製品が消耗品(プリンターのインクカートリッジなどの面倒臭いもの)

この戦略で、メインの商品の値下げ分を補うのに十分な、オプション製品の売上が達成できます。

オプション製品価格設定の例

オプション製品価格設定は、多くの業界で見受けられます。ここでは、その代表的な例をご紹介します。

1. ゲーム機およびゲーム

新しいゲーム機はどれも驚くほど高価に見えますが、その価格は通常、内蔵部品の実際の価値よりもはるかに低いのです。これは、マイクロソフト、任天堂、ソニーの3社が、今後5年間で、消費者が自分たちのゲーム・エコシステムに夢中になり、ゲームやメンバーシップにお金をもっとつぎ込んでほしいからです。

2. モバイルゲームとアプリ内課金

上記のケースを極端に言えば、フリーミアムゲームは多くのゲーム会社の現金収入源になっています。この場合、本編は無料ですが、いつの間にか水晶やエネルギーポーション、もっといい鎧をと課金してしまっているのです。

3. 電話機とプラン

アップルは今日のiPhoneの高価格の常識を覆しましたが、ほとんどの通信会社は、ユーザーにネットワークサービスを2年契約で結ばせるために、携帯電話のハードウェアを極端に値引きしているのが現状です。

4. 航空券および受託手荷物

航空券は決して安くはないですが、格安航空会社は、足元のスペース、預け入れ荷物、頭上の荷物置き場の使用、飲み物、食べ物、優先搭乗、座席指定など、思いつく限りの追加料金を支払わせることで基本の航空運賃を安くしています。

このため、格安航空会社はメジャーな航空会社よりもはるかに安く思えても、最終的にはより多くの料金がかかる可能性があります。

5. プリンターとインク

コロナ禍でより在宅勤務が軌道に乗るまでは、プリンターを置き、3ヶ月ごとにインクカートリッジを購入することは、ようやく過去のものになったと思っていましたが、もうそんなことはないようなので、一例に加えておきましょう。

6. SaaSプラットフォームとアプリ

Slack、Shopify、WordPressなど、多くのSaaSプラットフォームが、サードパーティのデベロッパーに解放されました。

SaaSプラットフォームを市場価格よりはるかに安く、あるいは無料で提供することは、膨大な数のユーザーを集めるにはとてもいい方法であり、そしてそのユーザー達には、エクスペリエンスを向上させるための高価なプラグインが提供されます。

そうすることで、そのサービスの所有者は、補足的なサービスによって収益を上げることができます。追加のプラグインやクロスプラットフォームの互換性ソリューションが、オーナーと投資家の間の元々の収益割合契約の一部でない場合、この種の付属サービスは、デベロッパーにとってはメインの製品よりもはるかに有益となり、この部分の利益を最大100%までかき集めることができるかもしれません。

オプション製品価格設定の長所と短所

どんな価格戦略にも長所と短所があります。オプション製品価格設定が自身のビジネスに適した戦略であるかどうかを判断するには、ユーザーがあなたの製品やその機能をどのように使いこなしてほしいかをよく考えてみてください。

オプション製品価格設定のメリット

競争の激しい市場であれば、自社のソフトウェアに直接十分な料金を課して利益を得ることはできないかもしれません。

その場合、オプション製品価格設定は、顧客を呼び込むには素晴らしい方法となります。一度あなたのプラットフォームの虜になれば、彼らに付加価値を提供するのにもう少し料金を上げてもいいでしょう。

オプション製品価格設定のデメリット

オプション製品価格設定は、実はオプション製品が実際にはそれほどオプション(補足的)でない場合にのみうまくいきます。また、追加オプションの数が多い場合にもうまくいきます。

もし、顧客が追加オプションは必要ないと判断した場合、赤字の価格設定になり、早くも資金が足りなくなってしまうかもしれません。

まとめ.

多くのSaaSビジネスでは、バンドル価格設定とオプション製品価格設定のどちらかを選択することになります。正しい選択は、顧客があなたのサービスに何を求めているかによって左右されます。

ユーザーが追加オプションなしでやっていけるかどうかを見てみてください。これは、ユーザー調査や新規ユーザーによる機能実験を通じて行うことができます(既存のユーザーベースをできるだけ壊さないようにしましょう!)。もし、あなたが提供する追加機能をユーザーがいくつか必要としていたら、オプション製品価格設定モデルを採用することを検討してください。

同業他社がどのような価格設定をしているかを調べたい場合、Baremetrics は、無料プランを提供している同業他社の数、価格の提示方法、平均購読金額など、さまざまな種類の指標に関するベンチマークを提供しています。

今すぐ無料トライアルでお試しください!ベンチマークはもちろん、Baremetricsの財務トラッキングソフトの全機能に14日間無料でアクセスできます。

Tomotaka Endo

Tomo Endo is a dynamic professional with a rare blend of achievements in technology, community leadership, and sports. As the Co-Founder of Nihonium.io since August 2023 and Community Lead at Xenon Partners since September 2019, Tomo has been pivotal in driving innovation and fostering community engagement within the tech industry in Tokyo, Japan. His role in facilitating growth and providing actionable insights at Baremetrics, coupled with his contribution to MetricFire's technical monitoring community, underscores his proficiency in leveraging technology to nurture professional communities. Beyond his tech-centric endeavors, Tomo has excelled as a professional athlete in squash, achieving the no.1 ranking in Japan and a global ranking of 79th by August 2020.