解約アンケート の作り方

Tomotaka Endo 2022 10 3

反響を呼ぶ 解約アンケート の作り方

顧客の解約後に、あなたが最初にすることは何ですか?「その理由を探るために 解約アンケート を送る」と答えた方は正解です!

しかし残念ながら、SaaSやサブスクリプションの会社は、以下のいずれかを行います:

  • 何もしない

  • 一般的な「お役に立てず申し訳ない」メールを送信する。

どちらの対応も、あなたや顧客にとって有益なものではありません。

解約アンケートを実施することで、チャーンの理由を知ることができ、また、ユーザーは自分の意見を述べる機会を得られます。

ただし、すべての解約アンケートが効果的なわけではありません。

本記事では、解約アンケートとは何か、アンケートを作成・送信する最適な方法、そして回答結果をどのように扱うべきかを説明します。では、さっそく見ていきましょう。

解約アンケート とは

解約アンケートとは、解約の理由や製品に関する全体的な経験について知ることを目的とした、解約したユーザーに送る一連の質問です。

一般的には、顧客がアカウントを解約した直後に解約アンケートを送ります。そうすれば、あなたの製品はまだ顧客の記憶に新しいので、回答してくれる可能性は高くなります。

解約アンケートは、顧客が解約する理由を知り、製品の方向性を導くための非常に貴重な方法となります。

例えば、Usersnapは、配信停止ページに配信停止の理由を記入する欄を設けるという小さなステップを踏みました。その結果、ある共通した傾向があることがわかったのです。

Usersnapの 解約アンケート

顧客はその製品に1回こっきりの必要性しか感じていないため、CLV(顧客生涯価値)が制限され、急速なチャーンにつながったのです。

そのフィードバックをもとに、ユーザーに長く使ってもらえるような新しい製品ラインを作り、その結果、より多くの長期的な顧客を獲得し、チャーンも下がりました。

Usersnapは解約理由をそのまま配信停止ページに書いていますが、アンケートを実施する方法はそれだけではありません。では、実際に解約アンケートを作成し、顧客に送信する方法についてご説明します。

解約アンケート の作成・送付方法

解約アンケートの作成には、色々と方法がありますが、一部の企業ではGoogleフォームWufooJotformなどのツールが使われています。

解約アンケート 作成ツール

この場合、アンケートを作成し、ユーザーの解約後にリンクを送信すればいいだけです。こういったツールの中には、フォームを自身のウェブサイトに埋め込むことができるものもあります。

この方法の利点は、無料であることですが、「無料」には通常、カスタマイズがあまりできなかったり、アンケート結果を手作業で他の購読データと関連付けないといけないといったような制約があるという残念な点もあります。

もう一つの方法は(筆者がお勧めする方法ですが)、SaaSの解約に特化したツールを使用することです。お恥ずかしながら、実は実際にツールを作りました

その仕組みは以下のようになります:

ユーザーが解約の理由を選択できるフォームを作成します。

解約アンケートのフォーム

このアンケートはメールで送ることができ、このような形になります。

解約アンケートのメール例

または、解約ページにフォームを埋め込みます。

解約アンケート の例2

ユーザーが解約理由を選択すると、Baremetrics のアカウントプロファイルに保存されます。そのため、各顧客がいつ、なぜ解約したかを(他のツールからインポートすることなく)正確に確認することができます。

解約アンケートのBaremetricsへの結果反映

そうすると、顧客が解約の理由を選択した後、彼らの反応に基づいて送信するフォローアップメールを作成することができます。このステップについては、後で詳しく説明します。

解約アンケート からフォローアップメール

そして、(いつ)メールを開封したかを追跡することができます。

フォローアップメールの開封確認

最後に、アンケートのデータを集計することで、どのような理由での解約が多いのか、また、どのような理由で売上が減少したのかを確認することができます。

解約アンケート の結果収集

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解約アンケート の内容

解約アンケートに何を入れるかは、実際にアンケートに答えてくれる人の数に大きく関わってきます。

このアンケートは、あなたの製品が自分には合わないと判断して解約したばかりの人に送るものであることを忘れないでください。となると、彼らはおそらく10分もあるアンケートに答えるような気分ではないでしょう。

そこでまず、アンケートの長さについてお話します。

Survey Monkeyがアンケートの完了率について調査した結果と、その中から筆者が得たポイントをいくつかご紹介します:

  • 質問数が多いほど回答時間は短くなる。ある時点で、とにかくさっさと質問を終わらせようとスピードアップし始め、データがぐちゃぐちゃになる可能性がある。
  • アンケート時間が長いほど、離脱率が高くなる。アンケートに7~8分費やすと、完了率は5~20%低下。
  • より丁寧な回答を望むなら、アンケートは短めに。

これらを踏まえて、解約時のアンケートにはどのようなことを記載すればよいのでしょうか。

では、ここでBaremetricsの仕事について説明します。

まず、最初に解約の理由を聞くだけのアンケートを送ります。その後、追加で意見を聞くためのフォローアップメールを送信します。

その流れは以下の通りです。

最初のアンケート:

最初の 解約アンケート

相手が回答を選択した後、このフォローアップメールを送信し、詳細を聞いています:

解約アンケート 後の詳細フォローアップ

そこから、さらにフィードバックを得るために、出口インタビューをすることもあります。

この流れはシンプル且つユーザーの負担が少ないことに注目してください。

企業によっては、解約時のアンケートを、製品の使用感や顧客満足度などのアンケートと一体化させることがありますが、このようなアンケートは、アンケートが長くなりがちなことと、おそらく行動に移さないであろうデータを収集してしまう点が難点です。

例えば、これはある企業の解約アンケートの例ですが、SaaS企業がよく行う質問をいくつか載せています。

SaaSビジネスのよくある 解約アンケート

「またXを利用すると思いますか」「友人に当社を薦める可能性はどのくらいありますか」といった質問を避けることをお勧めする理由は、追加の文脈がなければ、回答が実用的でないからです。

もし、誰かがあなたの製品を友人に「たぶん」薦めると答えたとして、その情報で何をするのですか?

仮に40%の人が「二度と使わない」と答えたとしたら、そのデータで何をしますか?もっと詳しく説明してもらわなければ、推測するしかないでしょう。

それに対して、これは解約理由のみを尋ねています。たとえユーザーから何の連絡もなかったとしても、解約理由を知ることは、少なくとも我々が仕事をする上でのヒントになります。

単に解約理由を聞くだけでなく、より行動的な質問をしたい場合は、以下のようにします。例えば:

  • 【製品】のどこが気に入らなかったのですか?
  • 【製品】についてひとつだけ変えられるとしたら、それは何ですか?

ユーザーが気に入らなかったことに焦点を当てた質問をしていることに注目してください。解約時のアンケートで、「(商品)のどこが良かったですか?」という質問をするのを見たことがありますが、これは、解約したばかりの人に聞く質問としては、あまり良いものではありません。

彼らが「いい」と思う機能があったところで、それは製品を使い続けるには十分ではなかったのです。ですから、人々が何を求めて去っていくのかを知る方が、より意味のあることなのです。

まあ要するに、解約理由を聞いて、さらに詳しい情報を得るためにフォローアップのメールを送ることを強くお勧めするということです。

解約アンケート 送信後に行うこと

解約アンケートを送った後、多くの企業はそのまま放置してしまいますが、そこで終わってはいけません。

ここでは、せっかく集めた情報を無駄にしないために、アンケートの送信後にできることをいくつかご紹介します。

出口インタビューでのフォローアップ

解約したユーザーの質的フィードバックを得るには、出口インタビューが最適な方法の一つです。アンケート調査も良いですが、出口インタビューでは、ユーザーがなぜ解約したのか、より具体的に掘り下げることができます。

アンケートと同じように、出口インタビューでは「何が悪かったのか」「何が気に入らなかったのか」に焦点を当てる必要があります。製品について否定的な意見を聞くのはつらいことですが、改善のためには必要なことなのです。

そこで、出口インタビューの担当者に、何か良い質問はないかと聞いてみたところ、以下を勧めてくれました:

  • 【製品】が自分に合っているかどうか、疑問を感じ始めたきっかけは何ですか?
  • 解約を決めた時期、きっかけは何だったのでしょうか?
  • 今、代わりに使っているものは何ですか?
  • 解約を防ぐために、私たちにできることはありましたか?
  • Xが問題なくなれば、また契約することに抵抗はないですか?

これらはすべて、最初の解約理由だけでなく、ユーザーが解約した理由を具体的に掘り下げるのにもいい質問です。

解約アンケート の結果から製品の改善とチャーンの減少へ

解約アンケートで得た意見から何らかの行動を起こさなければ、アンケートを実施する意味すらありません。

このようなアンケートがいいアイデアだと記事で読んだからというだけでアンケートをしてはいけません。アンケートは、その回答からより多くの解約を防ぐためのアイデアが得られるんですよ。

解約アンケート結果を活用してチャーンを減らした事例をご紹介します。

新型コロナウィルスが流行した当初は、通常よりも高いチャーン率が見られました。解約の理由を調べてみると、ある共通した傾向があることに気づきました。

解約アンケート から分析

多くのユーザーは、私たちの製品が不要だから解約したのではなく、正常化するまでの間、出費を抑えようとしただけなのです。

そこで、コロナが原因で解約を希望する顧客に連絡を取り、割引を行うことで継続的な利用を可能にしました。割引による短期的な収益への打撃はありましたが、このような顧客を長期的に維持する価値はあります。

解約アンケートの回答に注目し、このような機会を見つけることで、将来のチャーンを防ぐだけでなく、今まさに解約しようとしている顧客を救うことができる可能性があるのです。

解約アンケート 回答者へフォローアップ

もし、本当に次の段階に進みたいのであれば、解約アンケートに回答してくれた人たちに、数週間後(あるいは数ヶ月後)にフォローアップをしてみましょう。

人々のニーズは日々変化していますので、あなたの製品はその時点では適していなかったかもしれませんが、将来的にその状況が変化しないとは限りません。

競合他社に乗り換えたものの、隣の芝生が必ずしも青々としているとは限らないことに気づいたのかもしれませんし、こちらの新しい機能がリリースされたら、彼らが戻りたいと思うかもしれません。

解約した顧客に送る自動フォローアップメールを作成し、再び顧客を獲得するチャンスがあるかどうかを確認してみましょう。Baremetrics Messagingを使った方法をご紹介します。

すでに解約アンケートを設定している場合、メッセージ機能を使って、顧客が解約した後の数日、数週間、あるいは数ヶ月間、カスタマイズされたフォローアップメールを作成することができます。

まず、メールを送信するカスタムオーディエンスを設定します。アカウントを解約した人、メール配信を停止していない人、そして詳しい解約理由を設定します。

解約理由ごとにメール作成

ここで、重要なのは、解約理由ごとに異なるメールの作成です。

例えば、別の製品に換えた顧客には、その換えた製品がどんな感じかを尋ねるメールを送るとよいでしょう。

もし彼らの解約理由が特定の機能が足りないからということであれば、解約した時点から立ち上げた新機能をいくつか盛り込むとよいでしょう。

あるいは、特に理由がなければ、こんなメールを送ってみるのもいいかもしれません。

解約アンケート後のメールの例

そしたら、これらのメールをいつ送るかを設定するだけです。

カムバックメール例

メールに何を書くべきか、アイデアやインスピレーションが必要な場合は、これらの顧客カムバックメールのテンプレートをチェックしてみてください。

解約ですべてが終わったわけではない

解約アンケートは、製品の改善、チャーンの減少、さらには解約する準備が整った顧客を救うための素晴らしい方法となりますが、価値ある情報を得るには、適切な方法でのアプローチが必要です。

アンケートはシンプルに、回答を読んだらアクションを起こしましょう。簡単に行うためにも、ぜひBaremetricsサインアップしてご活用ください。

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Tomotaka Endo

Tomo Endo is a dynamic professional with a rare blend of achievements in technology, community leadership, and sports. As the Co-Founder of Nihonium.io since August 2023 and Community Lead at Xenon Partners since September 2019, Tomo has been pivotal in driving innovation and fostering community engagement within the tech industry in Tokyo, Japan. His role in facilitating growth and providing actionable insights at Baremetrics, coupled with his contribution to MetricFire's technical monitoring community, underscores his proficiency in leveraging technology to nurture professional communities. Beyond his tech-centric endeavors, Tomo has excelled as a professional athlete in squash, achieving the no.1 ranking in Japan and a global ranking of 79th by August 2020.