SaaSスタートアップのマーケティング - 6つのヒント

Tomotaka Endo 2023 6 8

もしあなたがSaaSスタートアップを運営しているのであれば、マーケティングに費やす時間や予算があまりない可能性があります。

実際、創業者のほとんどは、製品開発のみにリソースを集中させ、販売戦略については、最初の顧客がどうしても必要になるまで考えるのを先延ばしにします。もちろん、効果的なマーケティングキャンペーンを行うには、その時点ですでに遅すぎるのです。

専門スタッフのサポートや専門知識がなければ、「どこから手をつけるか?」「どのプラットフォームに手を出す価値があり、どれが資金源となるのか?」「ICP(理想的な顧客像)から自社ブランドへの関心を引き出すにはどうすればいいのか?」など、マーケティングサイクルを理解しようとすると少し圧倒されるように感じられるかもしれません。

そういった疑問で頭がいっぱいになっていませんか?それはあなただけではありません。

ここで言えるのは、SaaSスタートアップが利用できるマーケティング戦略は絶対に存在するということです! それは、莫大な予算やフルタイムの注意に依存するものではなく、早期に開始すれば少額で取り組むことが可能となります。

本記事では、スタートアップがSaaSビジネスとして成功するマーケティングキャンペーンを構築するための6つのヒントをご紹介します。

ヒント1:今すぐマーケティングを開始する

初めて起業する人に最もありがちな間違いは、ビジネスを市場に投入するまでに時間がかかりすぎる点です。彼らの製品は、開発者自身が準備するよりもずっと前にマーケットに流通していいほどの準備が整っていることが多いのです。その完璧主義で、彼らはビジネスマネーを失くしているのです。

また、販売の遅延は、成長を急激に遅らせることにもなります。ビジネスの初期に得た収益は、そのまま開発費に回すことができるのです。

最初のユーザーをβテスター(試験者)と考えましょう。早期に市場に投入することで、継続的にフィードバックを受けることができ、それがその後のすべての改善の核となるはずです。

たとえ完璧と思える成熟した製品をリリースしたとしても、開発はICPが求めるものに有機的に反応する反復プロセスでなければなりません。そして、自身のソリューションが本当に需要を満たしているかどうかは、市場に出してみないとわからないのです。

新しくリリースされた製品は、どれだけ長く温めたとしても、リリース時に完全に市場に適応することはありません。 それならすぐにでも少額であろうと稼いだ方がいいでしょう。

さらに、習慣は習慣を呼びます。 最初の10人のユーザー獲得は、次の100人のユーザー獲得の、計り知れないほどの大きな力となります。このように、新たに得た経済的な安定があれば、その収益の一部をマーケティング予算として確保することもできるのです。

もし、自身のSaaSが現実の世界に直面するほどの準備ができているかわからない場合、SaaSを市場投入する準備ができている3つのサインというブログをご紹介します。

ヒント2:資源効率がよく、長続きする販売戦略を選択する

マーケティングに多くのリソースを割けば割くほど、より多くの人にマーケティングキャンペーンを届けることができます。

だからといって、低予算の戦略で大きな効果が得られないわけではありません。  ということであれば、より慎重なキャンペーンの実施が必要になります。

低予算のキャンペーンでは、インパクトのあるメッセージが最も強力なツールになります。世界中のマーケティングの専門家の中で、注目される広告キャンペーンで見落とされがちなのが、クリエイティブの役割です。

リソースを拡張している場合は、マーケティング戦略を長続きさせる必要もあります。キャンペーンの形式やプラットフォームによって、そのライフサイクルは異なる傾向にありますが、注目度の高いキャンペーンの多くは、視聴者が何度も同じ広告を見せられて飽きてしまうため、短期間しか効果を発揮しない傾向があります。

では、最も寿命の長いマーケティング戦略とはどのようなものでしょうか。

多くのSaaSスタートアップでは、コンテンツマーケティングクチコミマーケティングが、他の戦略と比較して、最も長く関連性があり、面白く、「新鮮」な状態が最も長く続きます。

さらなるインスピレーションをお探しですか?ここでは、小規模なSaaSの創設者が利用できる代替マーケティング戦略をいくつかご紹介します。

ヒント3:マーケティングターゲットを具体化する

誰をターゲットにするかは、どのようにターゲットにするかということと同じくらい重要です。

SaaS製品を立ち上げたばかりであれば、自分に合ったユーザが誰なのかまだ分からないかもしれません。では自分自身に聞いてみましょう:「あなたのソリューションで誰がイチバン恩恵を受けますか?」「そのようなツールに投資できるリソースを持っているのは誰ですか?」

ターゲットが決まったら、この「顧客セグメントガイド」を参考に、最適なユーザー層を絞り込みましょう(「ICP(理想的な顧客像)」とも呼ばれます)。

こういったユーザーの特徴は、「MRR(月次経常収益)が高い」「LTV(顧客生涯価値)が高い」「スタッフのサポートが必要な点において、メンテナンス性が低い。」という3点です。

最初は広く網をかけることで、ICPが誰であるかを確立することができますが、ターゲットを早く絞れば絞るほど、特に顧客の質という点で、マーケティング努力の成果が現れ始めるでしょう。

ヒント4:競合のペインポイントを広告コピーに利用する

競合他社の欠点を逆手に取った営業手法として試行錯誤が繰り返されるべきであり、それを行うには3つのステップがあります:

  • 競合他社のユーザーが、そのサービスに対してどのような不満を持っているかを調べましょう。G2ITreviewなどプロフィールにある否定的なレビューを見るのも一つの手です。
  • 広告のコピーで、そのペインポイントや、自社の製品がどのようにそういった具体的な問題を解決するのかを言及しましょう。
  • よりよい製品、価格、サポートなど、より良い価値を提供することで、そのユーザー達を引きつけましょう。

この手法は、SEO広告やコンテンツマーケティングなど、さまざまなマーケティングチャネルで使用することができ、競合他社にない機能をさりげなく列挙したり、あるいは主要な競合他社よりも優れている理由を、名前を挙げて明確に説明したりできます。

競合他社の欠点を調査することで、未開拓の機会や開発目的での市場の現在のギャップも明らかになります。

もちろん、裏を返せば、ユーザーの声に耳を傾け、常に製品を改善し続けるということです。そうでなければ、終わりのないオセロゲームで競合他社にユーザーを奪い取る自由を与えることになります。

ヒント5:手動で作業する場合と自動化する場合のタイミングを理解する

スタートアップは、できるだけ多くのタスクを自動化ツールに委ねることが、終わりのないタスクの負荷を減らすいい方法のように聞こえるかもしれません。

ただ、自動化には多くの欠点があります。

例えばGoogleの機械学習は、1ヶ月30回の会話でロックが解除されますが、所見が本当に信頼できるものであるためには、最低でも月に100回の会話が最適です。つまり、コンバージョン率の低い小規模なSaaSの場合、当面は独自の市場調査や観察に頼った方が良いということです。

キャンペーンをいくつか実施した後、戦略をポートフォリオに整理して、各サイクルからの学びを比較することができます。

コンテンツマーケティングなどの長期的かつ継続的なマーケティング戦略は、テレビ広告のような単発的なマーケティング戦略とは異なり、反復的であることが利点です。ということはつまり、いつでも軌道修正しながら進めることができるのです。

機械学習を利用する場合、このポートフォリオシステムでは、過去のキャンペーンから有用な要素を取り入れることも可能であり、より広範なデータセットが、より正確で信頼性の高い結果をもたらすのです。

手動でのアウトリーチは強力ですが、時間がかかります。自動化ツールを完全に避けろと言っているのではなく、いつ、どのように適用するかについて戦略的に考えましょう。

見込み客にアピールするには、効率と個性のバランスを取ることが求められますが、幸いなことに、それをサポートする優れた自動化ツールがあります。ここでは、オススメのソリューションをいくつかご紹介します。

この記事中で紹介されているように、例えば、データスクレイピング、メールの有効化、未回答メールの追跡、検索アラートなど、プロセスのいくつかは自動化に適しています。

アウトバウンドの自動化で重要なのは、「人間と話している」という感覚を保つことであり、親しみやすい口調、プレーンテキストの使用、速やかな返信が非常に有効です。

結果ですか?自動化と機械学習によって、見込み客についてより個別化されたインサイトを得ることができれば、あなたのアプローチはより個性的なものになるのです。

ヒント6:戦略的に予算を配分する

SaaSスタートアップが、マーケティング予算を作成する際に陥りがちな罠がいくつかあります。

最初の間違いは、予算がないことです。簡単な解決策ですか?別口座を開設して、毎週欠かさず予算分のお金を振り込みましょう。

もう一つは、マーケティング予算全体を一纏めにしてしまうことです。

この予算は、以下の3つのカテゴリーに分ける必要があります:

  • 顧客獲得
  • ブランド認知
  • リサーチ

これらを分けて考えるのには、いくつかの理由があります。

まず、その目的はまったく異なるものですが、それでもすべて重要です。顧客獲得はビジネスを支えるものであり、ブランドの評判は見込み客が製品を知り、信頼するために維持されなければならず、調査は急速に変化する環境の中で新しいマーケティングの機会を明らかにするものです。

次に、この3つの側面は、通常、販売サイクルの異なる時点で作用することから、この3つを分けて考えないと、市場調査も財務記録も歪んでしまいます。

更に、目標とするROI(投資収益率)は、マーケティングの種類ごとに異なる尺度で測定されるべきです。リサーチもブランド認知も、2:1のROIよりスコアが高くなる傾向はありませんが、その一方で、顧客獲得予算が1:1のリターンを生まない場合、そのビジネスは深刻な問題になる可能性があります。

最後に、完全に避けるべきマーケティングのブラックホールがあります。

大企業はLinkedInのプレミアムアカウントや競争力のあるキーワードの入札をする余裕があるかもしれませんが、小規模なSaaSとしては、これはリスクになります。

どこにお金を使わないかを知るのも、時には同じくらい大切なことです。

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Tomotaka Endo

Tomo Endo is a dynamic professional with a rare blend of achievements in technology, community leadership, and sports. As the Co-Founder of Nihonium.io since August 2023 and Community Lead at Xenon Partners since September 2019, Tomo has been pivotal in driving innovation and fostering community engagement within the tech industry in Tokyo, Japan. His role in facilitating growth and providing actionable insights at Baremetrics, coupled with his contribution to MetricFire's technical monitoring community, underscores his proficiency in leveraging technology to nurture professional communities. Beyond his tech-centric endeavors, Tomo has excelled as a professional athlete in squash, achieving the no.1 ranking in Japan and a global ranking of 79th by August 2020.