スキミング戦略とは? メリットとデメリット - Baremetrics Japan

Tomotaka Endo 2022 9 12

スキミング戦略とは、企業が収益や利益を上げるために採用する数多くの価格戦略の一つです。

スキミング戦略とは、ある製品が市場に参入する際の価格戦略のことで、最初は一部の顧客が許容できる最高値に設定し、時間をかけてゆっくりと価格を下げ、取引量を向上させていきます。

この価格戦略は、牛乳からクリームの最上層を「すくい取る(スキミング)」ことから名づけられ、価格を需要曲線に沿って下げていくことで、企業が消費者余剰をより多く得ることを意味しています。

以下にグラフと例題でその意味を説明しますので、今わかりにくかったり理論的すぎると思ったとしても心配しないでください。また、スキミング戦略のメリットとデメリット、そして対象的な戦略である市場浸透価格戦略との比較についてもご説明します。

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スキミング戦略の仕組み

スキミング戦略とは、一言で言えば、企業が製品やサービスを発売当初は非常に高い価格で販売し、長期的に望ましい価格に達するまで時間をかけてゆっくりと価格を下げていくことです。

スキミング戦略は通常、製品がユニークであること、または特に望まれているものであることに依存しているため、新しい市場で、またはタイムリーな所有権により大きな知覚価値がある時によく起こります。これは、「First Mover」の原則の一部です。

前者の例としては、新しい電子機器が挙げられます。例えばプレイステーションやiPhoneの新製品が発売されると、その機能性の高さで、いわゆるアーリーアダプターがその製品に高いお金を払うのに十分なアピールになります。ソニーやアップルは、初期に高い価格で製品を出すことで、その購買意欲の高い層から利益を増やし、その後、より大量に購入するために価格を本当の市場の均衡に近づけることができるのです。

後者の例としては、衣料品が挙げられます。ファッション企業は、新作に高い価格を設定し、(時には不誠実に心理的価格設定を用いて)週ごとの急激なプライスダウンが日常的に行われています。ある人にとっては、シャツはただのシャツでしかなくても、別の人にとっては、その人の個性の表現であり、ステータスシンボルであり、スタイルの証明である場合、その商品には2つの別々の市場があり、高い価格から安い価格にすることで、会社は両方から最大限の利益を得ることができるのです。

スキミング戦略の背景にある理由

完全競争市場において、価格は需要と供給が合致するところで設定されますが、企業目線で言えば、これは短期的な限界費用と限界収益が合致するところになります。この場合、需要曲線と供給曲線は、価格・数量グラフ上で「X」を描き、価格-数量グラフの左側は、価格より上の消費者余剰と価格より下の生産者余剰を示しています。

消費者余剰とは、本来、その製品を購入した人々の集団に提供された付加的な利益のすべて(効用)であり、価格(Pc)より上の需要曲線にある人達は、市場価格より高くても買おうとしたはずなので、購入によって必要以上に喜んだことになります。

同様に、生産者余剰は、販売された製品の数に基づいて生産者が得た超過利益の量のことです。

以下にグラフがあります:

スキミング戦略をとる企業は、青い部分で満足するのではなく、最初は価格を高く設定し、時間をかけてゆっくりと価格を下げ、特に意欲的な購買者を取り込むことで、赤い部分の一部を取ろうとします。

下のグラフは、競争均衡価格ではなく、スキミング戦略を使って、需要をグループに分け、P1、P2、そして最終的にPc(cは競争均衡)を時間をかけて請求することで、より大きな剰余金の塊を手に入れる方法を示しています。

企業がスキミング戦略を行う主な理由は、固定費をより早く回収するためです。SaaSの世界では、プラットフォームの開発、テスト、改良に費やされた金額は、サービスのホスティングと保守にかかる費用をはるかに上回ることがあります。慎重にデザインされたスキミング戦略により、企業は初期の埋没コストを回収するまでの時間を短縮することができるのです。

スキミング戦略と市場浸透価格戦略

市場浸透価格戦略とスキミング戦略は、本質的に正反対の戦略です。スキミング戦略が初期の高い価格でより多くの収益を得るのに対して、市場浸透価格戦略は初期の低い価格でより多くの売上を得ます。

スキミング戦略は、独自の製品や新製品で最もよく使用されますが、市場が非常に競争が激しく、顧客が通常、選択したブランドに非常に忠実である場合は、市場浸透価格戦略が最もよく使用されます。

スキミング戦略と市場浸透価格戦略は、どちらも短期間で行うのがベストです。市場浸透価格戦略は、長期間使用すると顧客一人当たりの収益が減少しますが、スキミング戦略は、「チャンスがあればあなたの会社が設定した価格に勝てる」という競合他社を引きつけるようになってしまいます。

スキミング戦略の例

例)ある企業が新しいスマートフォンを発売しました。多くの市場調査を行った結果、コアなファンである10%の顧客は、その製品を初日に手に入れるためならほとんどどんな価格でも払うつもりでおり、さらに40%の顧客は、年内に携帯電話を手に入れるためなら高くても払いましょうと考え、残りの50%の潜在顧客はブランドイメージや新しい技術にあまり価値を見出せず、スマートフォン用の市場競争価格しか出すつもりはないということがわかっています。

この企業は、発売価格(P1)を8万円、入学準備セールのフォローアップ価格を7万円(P2)、そしてブラックフライデーに競争価格(Pc)の5万円に値下げすることに決定し、発売時に100万人、入学準備イベントで400万人、ブラックフライデーで500万人が携帯電話を購入すると予想しています。

競争価格体系であれば、【 5万円 × 1,000万体 = 5000億円 】の利益が得られたはずです。

これがスキミング戦略だと、【(8万円×100万体)+(7万円×400万体)+(5万円×500万体)=6100億円 】の利益を得られるのです。

スキミング戦略のメリット・デメリット

スキミング戦略には多くの利メリットがありますが、危険な価格戦略である可能性もあります。

それでは、スキミング戦略のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

-->スキミング戦略のメリット

  1. 固定費の回収が早い:新しいサービスを開発、販売し、顧客に契約してもらうためのコストは高額になる可能性があり、そうなると、非常に長い時間をかけてそのコストを回収することになる可能性があります。研究開発にコストがかかっても、初期の顧客から高い確率で契約してもらうことで、より早く回収することができます。
  2. ブランドイメージの確立と維持:スキミング戦略は、実際にはマーケティング戦略にもなり得ます。 最初に商品やサービスをより高い価格で提供することで、高品質のイメージが作られます。
  3. 市場をセグメント化:より多くのお金を払ってでもあなたのサービスを受けたいという顧客を最初に見つけることで、色々な顧客グループをセグメント化でき、今後の広告や販売促進にも役立ちます。
  4. アーリーアダプターは、新しいサービスのテストになる:価格を高く設定することで、最小実行可能製品が強力なプラットフォームになる前に、サービスをテストするためのリアルユーザーの必要性と、過大評価されるリスクのバランスを取ることができます。

--> スキミング戦略のデメリット

価格スキミングのメリットに注目が集まりがちですが、残念な点も目立っています。そこをいくつかを見てみましょう。

  1. 顧客が価格を気にする場合にのみ有効:価格感応度とは、価格が需要にどの程度影響を与えるかということですが、もし顧客が価格に敏感であれば、初期の高い価格に尻込みし、価格が下がったときにもう一度見ようとまではおそらく思わないでしょう。
  2. 競争の激しい市場ではあまり良い戦略にならない:同様に、市場が込み入って競争が激しい場合、潜在顧客は、たとえアーリーアダプターであっても、その価格を鼻で笑い、競合他社の方に行くかもしれません。
  3. 競争相手を惹きつけてしまう:当初は混雑していなくても、高価格が競争相手の目に留まる可能性があります
  4. アーリーアダプターを激怒させる可能性:高値で契約していたコアなファンである顧客は、新規顧客の支払い分が突然自分たちのより低くなると、頭にくるかもしれません。
  5. 長期的な戦略としては非効率:結局のところ、短期的な戦略でしかなく、最終的には適正価格を見極め、その価格を維持しないといけません

まとめ

スキミング戦略は、過剰な利益を生み出し、開発コストを速く回収するのに有効な手段ですが、最も忠実な顧客との関係を損なう可能性もあります。この問題のバランスを見つけることが、この戦略であなたの会社の地位向上の鍵になります。

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Tomotaka Endo

Tomo Endo is a dynamic professional with a rare blend of achievements in technology, community leadership, and sports. As the Co-Founder of Nihonium.io since August 2023 and Community Lead at Xenon Partners since September 2019, Tomo has been pivotal in driving innovation and fostering community engagement within the tech industry in Tokyo, Japan. His role in facilitating growth and providing actionable insights at Baremetrics, coupled with his contribution to MetricFire's technical monitoring community, underscores his proficiency in leveraging technology to nurture professional communities. Beyond his tech-centric endeavors, Tomo has excelled as a professional athlete in squash, achieving the no.1 ranking in Japan and a global ranking of 79th by August 2020.