SaaSのメトリクスの追跡でよくある失敗5選 - Baremetrics Japan

Tomotaka Endo 2022 6 7

あなたはSaaSビジネスを運営している場合、おそらく多くの数のメトリクスを追跡しているでしょう。では、そのような情報をどのようにすべて活用すればいいのでしょうか。

SaaSのメトリクスを追跡していると、情報が多すぎて処理が間に合わないような気がします。そのため、データが何を語っているのかを見極めにくい場合があり、無数の潜在的な落とし穴につながります。

データの分析で頭が混乱するとしてもSaaSのメトリクスの追跡がなぜ重要なのか、そして追跡中に避けるべき5つの間違いについて、本記事で説明したいと思います。

SaaSビジネスのメトリクスの追跡が必要な理由

SaaSのメトリクスの追跡は面倒な気がしますよね。わかります。特に、他にやるべきことが山ほどある場合はなおさらです。でもビジネスの成功には絶対に必要なことなのです。

SaaSのメトリクスを追跡することで、会社の進捗状況を把握できます。目標達成に向けて順調に進んでいるのか、自身のメトリクスを見てみるまではわかりません。また、追跡でビジネスにおける潜在的な問題の特定や、それが大きな問題になる前に取り除くこともできます。

更に、SaaSのメトリクスの追跡で、より良い意思決定や、会社のより速い成長が可能になります。結局のところ、それはどのSaaSビジネス・オーナーも望むことなのです。

SaaSのメトリクスの追跡で避けるべき5つの間違い

SaaSのメトリクスの追跡が重要であることに同意していただけましたか?では、追跡の過程で避けるべき間違いについて説明します。この5つの落とし穴を避けるのに最善を尽くしてください。

1. 多すぎるメトリクスを追跡

SaaSのメトリクスとなれば、大抵の創業者はすべてを追跡したいと思うでしょう。

その衝動はわかります。知識は力ですからね。データが多ければ多いほど、より良い決断ができますもんね?必ずしもそうではないんですけどね...

多くの場合、膨大な量のデータがSaaSのメトリクスの分析をしにくくしています。

情報の波に流され、何が一番重要なのか判断できなくなります。それよりも、一歩下がって、メトリクスをいくつかだけ分析することをお勧めします。そして次に、データが何を示しているかが実際にわかるように、上記のメトリクスを詳しく調べます。

例えば、自社のチャーン率を測るだけでなく、顧客をセグメント化し、どのセグメントの解約が多いかを確認しましょう。

チャーン率は思ったより高くても、解約した顧客の多くがICP(理想とする顧客像)から外れていることが分かるかもしれません。このような情報で、マーケティングや営業活動の調整や、より質の高い見込み客をターゲットにすることができます。

-> 新規SaaS企業にとって重要なメトリクス

「よし!もっと少ないメトリクスの分析をしよう!でも、どうやって目をつけるメトリクスを選べばいいんだろう?たくさんあるけれど、どれに注目すればいいんだろう?」と思っていませんか?

新しいSaaS企業は、パイレーツメトリクスに焦点を当てるべきです。このメトリクスの頭文字がAARRRであり、「Arr, Matey, time to walk the plank(オイッ、メイティ、板を歩く時間だ!)」という意味からそう名付けられました。

  • Acquisition (獲得):このカテゴリーのメトリクスは、企業、製品、サービスの発見に関するものであり、【顧客はどのように私たちのことを知るのか 】という問いに答えるものです。
  • Activation (活性化):このカテゴリーのメトリクスは、見込み客の関わり具合を扱うものであり、【見込み客が顧客になるために必要なステップを踏んでいるか】という問いに答えるものです。
  • Retention (維持):このカテゴリーのメトリクスは、顧客の離反を扱うものであり、【顧客は長く付き合ってくれているか】という問いに答えるものです。
  • Recommnedation (紹介):このカテゴリーの指標は、ブランドアドボカシーに関連するものであり、【顧客は、うちの製品を他の人に伝えるほど気に入っているのか 】という質問に答えるものです。
  • Revenue (収益):このカテゴリーのメトリクスは、あなたの会社が生み出すお金を扱うものであり、【人々はうちの製品および/またはサービスにお金を払うことを望んでいるか?】という質問に答えるものです。

パイレートフレームワーク解説の完全版は、こちらのブログ記事をご覧ください。

2. ビジネスモデルをおろそかにする

AARRRメトリクスは、ほとんどのSaaS企業で有効ですが、始める前に、あなたのビジネスモデルをよく考えてみてください。これらのメトリクスは、本当にあなたの提供するサービスにピッタリなものですか?

そうでない場合は、あなたの状況に適した別のメトリクスを見つけましょう。

たとえば、近所のスーパーが会社のメトリクスを追跡するとしたら、おそらく来店者数、平均取引額、標準的な在庫回転率などに注目するでしょう。

ところがSaaSビジネスでは、MRR(月次経常収益)チャーン率LTV(顧客生涯価値)などの経常収益を評価するメトリクスへの注目が必要です。

メトリクスの追跡・評価には、常にビジネスモデルを考慮しましょう。

3. 投資状況を考慮していない

SaaSのメトリクスを選ぶ際には、投資のレベルも考慮する必要があります。

もしあなたがブートストラップ企業なら、できるだけ早い黒字化が必要です。なぜかわかりますか?それは、あなたには頼みの綱となる現金が積まれてないからです。ほとんどすぐにお金を稼ぎ始めなければ、あなたのビジネスが軌道に乗ることはまずないでしょう。

一方、多くの投資家がいる場合、近い将来の収益性にあまり悩まされず、さまざまなアイデアや戦略を試す時間も資源もあるのです。

実際のところ、どうなんでしょうか

そうですね、ブートストラップ・ビジネスの場合、例えばCAC(顧客獲得コスト)LTV(顧客生涯価値)MRR(月次経常収益)などのキャッシュフローに関連するメトリクスに注目したいのではないでしょうか。

しかし、投資家の支援を受けた企業は、おそらく、CPL(見込み客獲得単価)、活性化率、NPS(ネットプロモータースコア)など、成長に関連するメトリクスをより重視することになるでしょう。

だからといって、ブートストラップ・ビジネスは、成長に関するメトリクスに目を向けてはいけないということではありません。ただ、成長に関するメトリクスが最優先であるべきではないのです。

4. 定量的メトリクスにのみ着目

定量的メトリクスと定性的メトリクスの違いはわかりますか?もしご存知でなくても心配無用です。念のため、以下にそれぞれ簡単に定義を説明しておきますね。

  • 定量的メトリクス:定量的メトリクスは、数値的な結果が正確に計上されます。そのため簡単に追跡できて、信頼性が非常に高いですが、無機質な数字が必ずしもすべてを語るとは限りません。
  • 定性的メトリクス:定性的メトリクスは、数字の背後にある価値を定量化しようとするものです。そのため、より主観的な性質を持っています。

定量的メトリクスと定性的メトリクスを簡単に区別すると、定量的メトリクスは【何が起きているか】を示し、定性的メトリクスは【なぜそれが起きたか】を示すものです。

さて、定量的メトリクスは事実を表しており、意見に左右されないので注目するのはとても簡単です。ところがそれは間違いなのです。

この例を考えてみてください:Awesome SaaS Company Incorporated(略称ASCI)は、金融サービス分野で様々なSaaS製品を販売していますが、残念なことに、同社はここ数ヶ月、15%のチャーン率に見られるように、顧客の維持に苦労しています。

ASCIのリーダーシップチームは、定量的メトリクスを見て、顧客維持率を高めるには変化を起こす必要があることに気づきます。しかし、どのような変化を起こせばよいのでしょうか。定量的メトリクスにはその答えはありませんが、幸いなことに、定性的メトリクスには答えがあるかもしれません。

ACSIの上層部は、カスタマーレビューや解約時のアンケートのフィードバックに目を通すようになり、それにより新規顧客の獲得がうまくいっていないことに気づきます。その結果、顧客は自社の製品から価値を見いだせず、他のソリューションを選択しているということです。

ASCIは、顧客のオンボーディングのアプローチを変えることで、顧客維持率を向上させたいと考えています。

何が言いたいかというと、定量的メトリクスと定性的メトリクスの両方が重要なのに、定性的メトリクスは過小評価される傾向があります。定量的メトリクスにばかり目を向けるのではなく、定性的メトリクスにも目を向けるとよいでしょう。

5. 顧客をセグメント化していない

率直に言うと、顧客セグメンテーションはものすごく重要です。

多くのSaaS企業は、色々な顧客にサービスを提供しています。顧客セグメントの例としては、小規模ビジネス、中規模ビジネス、エンタープライズ・ビジネスが挙げられます。大きな間違いの1つは、この3つのセグメントを同じように分析してしまうことです。

中小企業は、エンタープライズレベルの顧客とは異なるニーズ、リソース、見通しを持っています。ということは、中小企業の顧客は、エンタープライズの顧客とはまったく異なる行動をとり、異なる扱いを受けるべきなのです。

複数のSaaS製品を販売している場合、例えば製品Aを契約している企業はすべてセグメント1、製品Bを契約している企業はセグメント2、といった具合に、製品ごとに顧客をセグメント化することも可能です。

顧客をセグメント化することで、明確なビジネス像が得られます。

例えば、中小企業の顧客は、エンタープライズの顧客よりも高い確率で解約していることが分かるかもしれません。その場合、エンタープライズの顧客に影響を与えることなく、中小企業顧客をより多く維持できるような戦略を立てることができます。

Baremetricsで正しいメトリクス追跡

SaaS のメトリクス追跡は不可欠です。そうすることで、顧客について理解し、大きな問題になる前に問題が最小化され、会社はかつてないほど急成長ができます。ただし、これは必ずしも簡単にできるわけではないのです。

多くのSaaSリーダーが、あまりにも多くのメトリクスを追跡したり、定量的メトリクスにのみ焦点を当てる、あるいは、上記で説明した他の5つの間違いのどれかに当てはまるような間違いを犯しています。

今必要なのは、あなたの会社のメトリクスを簡単に追跡・分析する方法です。繰り返します。多くの人に使われているSaaSビジネス向けの分析・レポートソリューションであるBaremetricsをチェックしてみてください。

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Tomotaka Endo

Tomo Endo is a dynamic professional with a rare blend of achievements in technology, community leadership, and sports. As the Co-Founder of Nihonium.io since August 2023 and Community Lead at Xenon Partners since September 2019, Tomo has been pivotal in driving innovation and fostering community engagement within the tech industry in Tokyo, Japan. His role in facilitating growth and providing actionable insights at Baremetrics, coupled with his contribution to MetricFire's technical monitoring community, underscores his proficiency in leveraging technology to nurture professional communities. Beyond his tech-centric endeavors, Tomo has excelled as a professional athlete in squash, achieving the no.1 ranking in Japan and a global ranking of 79th by August 2020.