この記事では、MRR とは何か、どのように計算するのか、どのようにビジネスの発展に生かせるのかまでを掘り下げます。
SaaSビジネスは1回限りの販売ではなく、一定期間のサイクルごとに収入が見込まれるビジネス形態であります。そのため、MRR(Monthly Recurling Revenue)を注視することはとても重要で、SaaSビジネスの生命線となるメトリックとなります。
また、ビジネスフェーズによって考慮したいポイントが変わってきますので、ビジネス戦略にも大きく関わりますので、今回はこの記事でMRRを分かりやすく解説していきます。
MRR (Monthly Recurring Revenue) とは?
一般にMRR(Monthly Recurring Revenue)と略される月間経常収益は、月額に正規化されたすべての経常収益です。簡単にいえば、サブスクリプションで発生した毎月の売上です。ですので、このMRRの中に、初期費用などの一回払いの売上は含まれません。 このMRRは、サブスクリプション企業やSaaS企業で通常的に使用される重要なビジネスメトリック(指標)の一つとなります。
MRRは、さまざまな料金プランと請求期間を1つの一貫した数値に平均化して、時間の経過に伴うビジネスの傾向を追跡できるようにする方法であり、有効活用されています。
MRR 計算方法
MRRの計算は非常に簡単です。 アカウントあたりの平均収益に、その月の顧客の総数を掛け算するだけです。
平均で月ごと$100払う顧客が10人いたとすると、MRRは$1,000になるということです。
MRRの計算方法
顧客数 × 平均月額料金 = MRR
どのようにNet New MRR を計算するのか
新しく顧客が増えた時、MRRも増加しますよね。そして、解約した顧客がいればMRRは減少します。このようにMRRは毎月、増減するものです。そして、1ヶ月前のMRRと今月のMRRの差額をNet New MRRと呼びます。
サブスクリプション方式のビジネスが成長するに従い、MRRを観察するだけでなく、MRRにもたらされる変化が何の要因によって、時間と共に得られたのかを確認する必要性が増してきます。
そして、以下の3つの要素が、「Net New MRR」に影響を与えます。
また、Net New MRRの計算法は以下になります。
New New MRR の計算方法
Net New MRR = New MRR + Expansion MRR - Churned MRR
残念なことに、NewまたはExpansion MRRよりChurned MRRが上回った場合, その月はMRRを失うことに繋がります。
また、投資家または上司、チームメンバーにMRRを報告する際、Net New MRRを分析することで、彼らは多くの情報を得ることができますので重宝するべきメトリックです。
MRR の分析方法
MRRはとてもシンプルに見えるメトリックですが、 実際は色々な理由が作用して、あなたのサブスクリプションビジネスが成長している(またはしていない)こと示してくれます。そのため、どのような点が潜在的な問題に繋がっており、そして、何がどのようにMRRを成長させくれるのかをしっかり分析する必要があります。
そのようなインサイトを得るためにはBaremetricsが非常に優れています。MRRというシンプルなメトリックを向上させるためには、より多くのビジネスメトリクスを観察することが重要です。こちらに、Baremetricsのデモアカウントを載せますので、是非参考にしてみてください。
5種類の MRR タイプ
MRRには5つのタイプがあります。
- New MRR - 新規顧客から得られるMRR
- Expansion MRR- 既存顧客から得られるMRR (アップグレード)
- Reactivation MRR - 以前の顧客からのMRR
- Contraction MRR - 既存顧客からの損失MRR (ダウングレード)
- Churned MRR - キャンセルをした顧客からの損失MRR
5種類の MRR を解説
MRRには5つのタイプがあります。
これらのタイプを知っておくことは直感的な「理由」を知るためには大切です。月ごとに何が理由でMRRが上がったのか下がったのか厳密に学ぶことができるからです。
図表を使ってこの理由を理解することはとても役に立ちます。
このMRRのグラフで、すでに多くの情報がありますが、Baremetricsのアプリ内でさらに下にスクロールするとMRRをより詳細に表示でき、はるかに理解しやすくなります。
もっと深掘りしたい場合、Baremetricsは月ごとのビジネス成長を示すグラフも提供しています。こちらは、正確な数字で各月のMRRの純利益と純損失を示します。
では個々の棒グラフデータ、カラー、ワード、そして数字が何を示すのかを見ていきましょう(2020年10月のグラフの詳細をチェックしていきます)。
- New MRR (新規顧客)は$4,140、これは先月より80%増加になります。Expansion MRR (アップグレード)は$2,619、これは先月より20%減少しました。
- Reactivations MRR (戻ってきた以前の顧客)は$473、これは先月より6.5%増加しています。
- Contraction MRR (ダウングレード)は$158、これは先月より40%成長しています。
- Churned MRR (キャンセル)は$4,622、これは先月より20%の急激な減少になります。
- 全てのこれらのMRRタイプを足し、純増の$2,452という結果が出ました。
以上のことから、MRR見ただけでは分からない、次のようなことが解析できます。
- Churn MRRとContraction MRRがExpansion MRRを上回りました。これは、より多くの既存顧客がアップグレードではなく、キャンセル、またはダウングレードしたことを示します。また、過去数ヶ月を見ても、同じようなマイナスのトレンドを示しています。
- MRRをタイプ毎に分割しなかった場合、あなたは「やった、$2,620のMRRの成長があった!」と喜ぶでしょう。ただ、実際には$4,500以上の解約があったことを見逃してしまいます。本来ならビジネスとして見逃してはならないこの事実に気がつきません。
- New MRRは目を見張る成長を見せました。なんと、その年1番の成長が見られたのです。 Expansion MRRが普段より低かったため、 新規顧客からの収益がchurnとcontractionの損失をカバーしてくれました。
MRRをタイプごとに分析していない場合、重要なデータポイントを見過ごしていることになります。ビジネスを成長させるには所々で様々の調節が必要になのです。しっかりその調節が出来ているかを確認することで、より効率的なビジネスに繋がるのです。
MRR と 料金
SaaSやサブスクリプションビジネスを行っていく中で、顧客の様々なニーズに答えるため、いくつかの料金プランを提供していると思います。今回もBaremetricsを利用して、その料金プランをどう決定していくべきかについて、MRRを利用して分析していきたいと思います。
それでは、まずあなたの全てのMRRのうち、それぞれの料金プランが何%ずつを構成しているかを知っていますか。
なぜ、これを理解する必要があるのか?例えば、もし90%の顧客がプランAを使っていて、それがビジネスの10%のMRRだとしたら、どうでしょうか?
そうですね、たった10%のMRRしか生み出さない90%の顧客にサポートなどに大きな力を注ぐ必要があるのかという問題になります。
以下の画像をみて、さらに考察を深めていきましょう。
上図のMRRの比率を元に考察すると、以下の2つの重大な点が見つかります。
- ほとんどのMRRは中間層の料金プランから得られている。ほぼ半分にあたる(49%)顧客は一月$250またはそれ以下のプラン。
最も低い料金プラン($50/月)は19%で、これはMRRの6%にしか該当しない。
これらの洞察を元に、以下のように考えることができるはずです!
- MRRは中間層とそれ以下のの料金プランが約半分で、それ以上が残りの半分なので、1つ、2つ大きなアカウントが解約されてもMRRが完全に打撃を受けることはないことを示します。
- 最も低い料金プランを$25上げることにより、かなりのMRR増加に繋がるでしょう。
収益がどこからきているのかを理解し、どのエリアにより力を注いでビジネスプランを立てるかによって、より高い収益に繋がるでしょう。
このようにビジネスを考えていくことが大事であり、面白い部分でもあります。MRRを見るだけで、ビジネスの方向性も考えられます。是非、定期的にMRRをチェックしてみましょう。
MRR と トレンド
ここでは、ある期間のMRRのアップダウンを確認することで、MRRの傾向やトレンドを理解できるようにする方法を伝授します。
例えば、こんな経験はございませんか?MRRをチェックしていると、たまに1日で大きな下降が見られ、大焦りするみたいなことが。
ただ、MRRをチェックする上で大切なことは、このような1回限りの事柄をチェックするのではなく、時間とともに見られるトレンドや変化をチェックすることです。
特殊な一つの事柄に注目してしまうのは、よくありません。なぜならそこには無限の変則がありそれらは注目するに値しないからです。大きな顧客が解約したら、MRRも大きく下がるものです。ですので、MRRは週間間隔よりもきめ細かいレベルのデータを見ることはほとんど無駄だと思ってもらっても大丈夫です。
きめ細かいデータを利用して、大きな決定を下すのは避けた方がいいでしょう。データを利用して、会社の方向性を左右するビジネスの決断をする時は、最小で月次ベースまでにしておくことが賢明です。
トレンドラインを使うことは、変則性を抑制することに最適な方法で、平均を理解することや、ある一定な方向に向かっているまたは散らされているのかを理解することにも繋がります。
下図の点線ラインは数ヶ月のデータから山や谷がスムーズに表現された移動平均トレンドラインです。
もちろん、この平均トレンドラインだけを利用して、ビジネスを分析するのも悪くはないですが、様々な視点から異なるトレンドでMRRを確認できるようになると新しい発見ができることもあります。
サブスクリプション分析ツールのBaremetricsを使用すると、平均線だけではなく異なるタイプのトレンドラインをチェックすることができます。以下に、それらのトレンドラインの特徴や使用するべきタイミングについて解説します。
1. 線形トレンドライン (Linear)
線形は、直線の線を描き山や谷などがありません。ビジネスがうまくいっている場合、右上に伸びるメトリックです。 線形はシンプルですが、MRRには素晴らしい選択肢の一つです。
2. 対数トレンドライン (Logarithmic)
線形に似ていますが、曲線を描きます。急に変化し安定するデータに最適です。例えば、急成長し安定期に入る、またはゆっくりとした変化になるMRRに適しています。
3. 多項式トレンドライン (Polynomial)
このトレンドラインは山や谷が多いデータに適しています。多項式トレンドラインは最大で2つの曲線が描かれます。チェーンとLTV(顧客生涯価値)は多項式トレンドラインがよく使えるメトリックの二つです。
4. パワートレンドライン (Power)
これらのトレンドラインは特定の割合で変化します。右上に伸びるデータに最適で、MRRなどを含みます。
5. 指数関数トレンドライン (Exponential)
これは、上がったり下がったりする指数間数的成長データに最適です。ほんの一握りのサブスクリプション式ビジネスは指数間数的成長をします。今でいえば、 Slackなどです。
6. 移動平均トレンドライン (Moving Average)
各データポイントごとに注目し、2個どなりのデータポイントから平均を出します。これは、定期的に差し引きするデータに適していて、不規則なデータポイントを持っています。チェーン、LTV、そしてデータARPUはこの方法を使うと良いでしょう。
これらの様々なトレンドラインを利用して、MRRやビジネスメトリクスをチェックしたい方は、Baremetricsをチェックしてみてください。
MRR を成長させる方法
MRRを向上させるのはそんなに簡単なものではありません。何ヶ月もかけ時間と労力をかけて、またはチームが奮い起こして開発し作り上げたものを最高のマーケティングキャンペーンを行い、全てがうまくいった時にMRRグラフを上方向に動き始めます。ただ一方で、時にはMRRに損失が生じることもあるのです。
SlackやZoomのような企業についてTwitterで下図のようにMRRがうなぎ上りする話を読むことがあるかもしれませんが、実際のところ... 99%のサブスクリプションビジネスはそのようなことはありません。
その代わりに確認できるのは、ゆっくりした、痛みを伴うような増分、つまり地味な成長です。
MRR アップの方法1:値上げ
値上げなんて、皆分かっているポイントではあると思いますし、そんな事していいならやっているという話になるかもしれません。
ただ、実際には多くの企業が商品に見合った価格を設定しておらず、安すぎる価格で商品を提供していることがあります。
この原因としては、創業者が人の目を気にし過ぎてしまうからです。人間誰でも否定されるのは怖いものですよね。そのため、素晴らしい商品を作り出したとしても、自身で十分な信用をおけず、価値に見合った価格をつけられないのです。
そのため、低価格で商品を提供し、顧客に拒否される可能性を最小限に留めるのです。
実際に、顧客のために具体的な問題を解決する商品を開発した場合、1000円以下の価格は低過ぎます。
顧客がSaaSソフトウェアを使う理由は最低でも以下の3つの中の一つの理由があてはまります。
- 時間を節約する
- お金を節約する
- もっとお金を生み出す
これら三つの点はまとめて「価値」です。そうです、ビジネスは「価値」へお金を出すのです。
もしあなたが開発者として、商品が一月500円程度の価値しか生み出していない場合、新しい商品を開発することをお勧めします。ビジネスとして成り立たないからです。
これは、厳しい現実です。でも、同時にあなたの商品は一月500円以上の価値を生み出せる可能性も秘めているのです。
ではここで簡単な計算をして例えを見ていきましょう。
まず、顧客の時間はどれほどの価値があるでしょうか?1時間約5000円の価値があるとします。顧客の役職によって、1時間2000円や数十万円の価値がある顧客もいますが、まずは分かりやすい5000円として見ていきましょう。
もし1ヶ月6分以上の顧客の時間をサポート出来るソフトウェアを開発した場合、1ヶ月500円はすでに低価格だと言えます。この場合、最低でも一月2000円の料金設定をしても問題はないはずです。実際、多くの企業はその何倍も喜んで支払うでしょう。
もちろん、この話を聞いたからと言って心配な方も多いはずです。そんな方はテストしてみてはいかがですか?
まずは現在、販売している価格を二倍にしましょう。そうです、二倍です。何も変える必要はありません。 機能を再配置したり、制限を上げる必要もありません。ただ料金ページの価格を二倍にするのです。そして、待機です。
そして1ヶ月後にコンバージョン率、そして成長率が減少しているか確認してみましょう。多くの場合では両方とも減少せず、実際には両方とも増加するはずです!
この2倍戦法をを繰り返します。そして、また繰り返し、そのまた繰り返しです。利益の成長、または顧客生涯価値にポジティブな影響が見られなくなるまで毎月これを繰り返してみてください。適正価格が見えてくるはずです。
MRR アップの方法2:アップセル
誰があなたのビジネスにより信頼をおいているでしょうか?それはあなたのビジネスをまだ経験したことがない人でしょうか?それともそれは、あなたと日々会話をしたり何らかの関係を築いている人でしょうか?
それはもちろん日々関係を持っている人です。
そのため、既存顧客からの収益を成長させる方が新規顧客から収益をえるよりより安く行うことができます。両方とも必要がないとは言いません、ただ新しい顧客を確保(Cost Per Aquisition)するのはよりお金がかかるのです。
もしあたなの顧客が成長し、顧客は時間と共により大きな価値をあなたのビジネスから得ている場合、その時は価格もマッチする必要があります。
あなたはチャリティーをしているのではありません。ビジネスを提供しているのです。もし顧客がより価値の高い物を求めている場合、これはチャンスです。アップグレードした商品を提供しましょう。
あなたが提供する価値は顧客が支払う価格より、より優れていないといけません。ただ、両方が平行して成長できることが理想です。
これを設定するにはロジスティック的に様々な方法があります。クリエイティブな方法でアプローチができますが、異なる価格設定モデルを使い、いくつかの典型的な方法でMRRを増加することができるのでそれを見ていきましょう。
1. ユーザー数での料金体系
ユーザーごとの価格設定、または座席ごとの料金体系は受け取った価値に価値を添付し提供をする典型的な方法です。 このようなタイプの価格は本質的に、どのビジネスからも制限なく価値が得られることを意味します。
顧客が成長し、顧客のチームがよりあなたの商品を使うことにより、あなたのビジネスもより多くを得られるでしょう。
もっとワイルドで、クリエイティブなことがしたいのなら、Slackのようにユーザーごとの価格と段階的な価格設定を組み合わせることができます。顧客がアップグレードした時、ユーザーごとの収益が自動的に増加します。
有名企業の数々はこのタイプの料金・アップグレードモデルを採用しています。
- Salesforce- 価格設定はユーザーごとに一月$25から最大で一月$300まで。
- Atlassian - 各種商品を取り揃えていますが、 価格節制はユーザーの数がベースとなっています。
- Trello - 価格設定はユーザーごとに一月$10ほどから始まります。
- Slack - 価格設定はユーザーごとに一月$6から始まり、必要な機能によって料金が上がっていきます。
2. 従量制の料金体系
皆さんはHerokuまたはAWSなどのホスティング・インフラ会社の従量制、または利用ごとの価格を最もよく知っているのではないでしょうか。
サービスを利用すればするほどに、もっと支払うことになります。そこには文字通り、価値の交換の相関関係があります。
3. アドオンでの課金システム
多くの顧客は既に基本プランを利用しているでしょう。ただ、そのプランに事前にどのように「バケット」機能を提供するか決める上で、何が正しいのか正しくないのか把握するまで当てずっぽうになってしまいます。
最大の特徴を「アドオン」とすると、あなたの顧客に完璧なツールのパッケージを作り出すのをより簡単にします。
また、アップセルするのもより簡単になります。(すなわち、「月1000円追加するだけで機能Aを得られる」となるように。)
MRR アップの方法3:無料プランの撤廃
無料プランはほとんどのソフトウェア会社でもデフォルトとして提供されているものです。今の時代に無料プランを無くすなんて馬鹿げているとも言えるでしょう。ただ、私が提案しているのはまさにそのことです。
無料プランを手放しましょう。あなたのソフトウェアにはそれだけの価値があります。
分かってます。簡単ではないですよね。では、どうすれば良いのか少しずつ見ていきましょう。
まず、無料プランの目的とは何でしょう?通常無料プランには1つ、または2つの意味があります。
1. マーケティングツールのための 「無料」
無料の何かがあるということは、それだけ多くの人をまずあなたのビジネスに呼び込むことに繋がります。そして、そこからプレミアムプランを顧客に売るチャンスを得ることができます。
ただ、ここで問題になるのが、ここでの「価値」は$0だということ。顧客はあなたが何と言っても、何を提供しても、「今何も支払っていないのに、なんでそれ以上支払う必要があるの?」という考えの元あなたのビジネスを見ているからです。
これは顧客はあなたのビジネスを価値のある商品ではないと無条件に思ってしまうからです。
間違いなく、消費者ビジネスにおいて、「無料」ということはマーケティングツールとして優れています。 それは、歴史的に顧客はとても価格意識が高く、彼らには無限の選択肢があるからです。また、顧客のお金を使いたいと思うモチベーションは、基本的に異なります(顧客が買うほとんどの物は、 「欲」で、「ニーズ」ではないからです。)
露骨に「無料」プランが有利に働くのは限られたビジネスしかないのです。スケールメリットはあなたに有利には働きません。おそらく、長期で大きな 「トップオブファネル・TOFU」 を設定、コンバージョン率をより分けることが必要になります。
その上、無料ユーザーをサポートするのは人件費を含め高くつきます。大きなベンチャー支援企業で、数千万そして数億もの経済力があれば大規模な無料ユーザーをサポートすることは可能ですが、ほとんどのベンチャーは無理でしょう。
2. ソフトウェアをトライアルするための「無料」
多くの企業が「無料」プランを使い、顧客にソフトウェアを試させる方法を提供します。これらの企業は「マーケティングツール」としての無料をよく理解し、顧客は、どのような価値が得られるのかを体験できます。一石二鳥ってなわけですよね!でも、実際は違うのです!
なぜなら、「無料のマーケティングツール」の欠点だけでにとどまらず、あなたは顧客にあなたのソフトウェアの可能性を制限されたビジョンを通して提供してしまっているからです。
このことから、顧客は「このソフトウェアの価値はあまりないし、たいして何の役にも立たない」という考えを持ってしまいます。
ではここでの解決策は何でしょう?
無料プランを提供するのではなく、例えばMangoolsのように時間限定で無料トライアルを提供してはどうでしょうか。
無料トライアルは7日間、14日間、30日間、または60日間など何でも良いのです。顧客があなたのサービスを使いどんな価値が得られるのか分かることができれば良いので、トライアルの期間はその価値が得られる期間ならどれくらいでも良いと言えます。
MRR アップの方法4:最大価格・無制限の撤廃
分かっています、SaaSの商品の価格設定は難しいということを。
価格設定はどんな商品を作り出す時でも最も難しい問題です。 あなたの商品をいくらに設定するかは簡単ではないし、何が正しく正しくないかも正解がありません。
ただ、一つだけアドバイスさせて下さい。これは頭に入れて価格設定をして欲しいのです。
「絶対に無制限のプランは提供しない。」
ある企業家の一人の話です。彼はSaaSのビジネスをしたことがありませんでした。そのため、良い価格モデルを設定するのはどこからともなく、適当な数字を選んでしまったのです。
その一つが、なんと「無制限」のプランで$99で提供してしまったのです。なんてことをしてしまったのでしょう!
価格設定を初めてする時、多くの人が、 「もし、一月に$99払ってくれる人がいるなら満足だ!」と思ってしまうのです。
とにかく利益を生み出したいあなたは、本来ならもっと得られるサービスをその価値に満たない価格で提供してしまいます。とにかく顧客を誘惑するために。
でも、それはやめてください。無制限に提供するのはやめるべきです。可能性としてはこの段階であなたの価格設定は低過ぎます。そしてこの「無制限」のプランは命取りになるからです。これがなぜなのかは次に説明するとしましょう。
以前話した通り、価格設定をする時は、その価値に合わせて価格を設定しましょう。顧客が支払っている価格と、あなたが提供しているサービスのバランスが取れていることを見定める必要があります。きっとあなたはもっと高い価値が得られるはずです。
これを元に考えると 「無制限」は意味があると思いますか? いいえ、ないですよね?これは、「無制限」の価値を設定したことで、どの顧客でも一定までの収入しか得られないように設定しまったからです。これは後々、頭を抱えてしまう問題になります。
これがどれだけ悪い動きだか分かりますか?
「無制限」のプランを選ぶ顧客は、あなたが得ている価格よりも指数関数的にもっと支払ってもいいと思っている顧客なんです!そんな顧客にはそれ相当の価格設定をするべきです。
MRR の計算でよくする6つの間違い
MRRはSaaSやサブスクリプションビジネスにおいて、理論的には最もシンプルで重要なメトリックの一つではありますが、複雑さとエッジケースも兼ね備えているため、MRRを計算することは起業家をつまずかせる大きな落とし穴でもあります。
この記事ではあなたのビジネスの経常収益を計算する上で、気をつけたい以下の6つのことをベースにお話ししていきます。
こちらを参考にして、MRRの計算にミスがないようにしていただければと思います。
1. MRR の請求間隔を謝って会計処理をしてしまう
MRRはMonthly Recuring Revenueという名の通り、「毎月」 の数値です。 ただ、気をつけなければならないのは顧客への請求は「月ごと」だけではありません。月単位意外によく使用される請求期限は年間、そして半年ごと、また2週間ごとの請求があります。
では、これらの月単位ではないものはどのように月間経常収益として数値化するのでしょう?そうです、月単位に正規化するのです。
例えば、 もしある顧客に年間120,000円請求したとします。その場合、単純にこの数字を12で割ります。そうすると、120,000円/年の顧客が10,000/月のMRR数値になるわけです。
では、週ごとだとどうでしょう?一年は52週間です。そのため52を12で割ると、4.33となります。 1週間に1,000円請求した場合、 1,000円 * 4.33は4,330円という計算がされますので、その分がMRRとして計上されます。
2. MRR を経常外収益を含んでしまう
MRRは、あなたの会社の成長や今後の未来の健康を測るべく使われる数値です。
もし、あなたが一回きりの支払いである初期費用や、ある費用の分割払い(一回$19.99の支払いを3回行うなど) を追加してしまうと、人工的にMRRの数字を膨らましていることに繋がり、 間違ったMRRを計算することになります。
顧客がサービスの利用を停止するまで自動的に繰り返されない支払い以外はMRRの数値に追加してはいけません。
3. MRR を会計数値として扱ってしまう
MRRはどんなシナリオでも、会計そして税金目的で使用される数値ではありません。MRRはビジネスを洞察する数値で、会計の数値ではありません。
会計用語や会計に関わる数字を話したい際に、あなたが注目したいのは予約、請求書、そして繰延収益になります。しかし、MRRは、会計士と一緒に扱う数値ではありませんので、その中には含まれません。
あくまでMRRは、成長のトレンドを追跡することで、どこから収益が成長しているのかのインサイトを提供してくれ流ものです。
4. リードとトライアルも含んでしまう
「お、やった!月額50,000円のプランを始めた人がいるぞ。MRRに追加しよう!」
ちょっとお待ちください!喜ぶのは、まだ早いかもしれません。
もちろん、トライアルそしてリードも何%かはコンバートされMRRの一部になります。 コンバージョン率はとても一貫性があり、あなた自身もそのコンバージョン分は計算しても良いと思ってるかもしれません。ただ、そのコンバージョンはここでは異なるメトリックであり、混合してはなりません。
一時的にMRRの数値を膨らませている顧客、今後続けて使用する、支払いする分からない顧客をMRRに追加することは何の役にも立ちませんので、それは避けるようにしましょう。
5. MRR コンポーネントを無視してしまう
すでにこのMRRシリーズのPart2でも話したように、MRRは実際には5つの異なる要素から成り立っているのです!
・New MRR
・Expansion MRR
・Reactivation MRR
・Contraction MRR
・Churned MRR
各MRRのタイプは、それぞれ異なる情報を教えてくれ、あなたの「なぜ」という疑問に違った洞察を与えてくれます。もしあなたが、これらのトップレベルのMRR数値を見ていなかったら、危険信号を見逃してしまう可能性があります。
例えば、現在高い成長によって隠されてしまっている高い解約率などです。これにより、その高い成長力は持続しなくなるでしょう。
6. クーポンや割引を無視してしまう
もし顧客に50%オフのクーポンを提供しているとしたら、月額$250全ての価値を追加しても良いと思いますか。いいえ、それは違いますよね。
このクーポンは一時的かもしれません(すなわち3ヶ月50%オフなど)、または永久的な物かもしれません。
実際、MRRを計算する時、その顧客からの価値と収益を削減するのは視野に入れたい現実的で具体的な方法です。さもないと、人為的にMRRの数値を膨らませていると言えます。
そうです、これはMRRの計算をより複雑にし難しくする要因でもあります。このような複雑な計算の重荷を取り払うためにあるのがBaremetricsです。Baremetricsは自動的にこれら全てのタイプのエッジケースやシナリオを考慮するので、計算が自動的に行われるようになるというわけです。
Baremetricsは、MRR などのインサイトを提供
サブスクリプションビジネスを維持するには、何が機能していて何が機能していないかを知ることが重要です。 拡張収益は見栄えがしますが、顧客がサブスクリプションパッケージのアップグレードを選択する理由がわからない場合、繰り返すのは困難です。
Baremetricsは、すでに持っている情報に関するスマートで実用的なデータを提供します。 そのスマートダッシュボードにより、SaaS企業は経常収益と解約率をよりよく理解できるため、前者を増やし、後者を減らすための措置を講じることができます。解約率の削減、成長の促進、データに裏付けられた自信を持った意思決定に興味がありますか? 今すぐ無料トライアルにサインアップしてください。